NMI・宮澤政夫代表に聞く 「書面電子化」問われる政省令案
概要書面の承諾記録、会員との共有£案
▲ネットワークマーケティング研究所
宮澤 政夫代表
前々回(1月26日号3面)、前回(2月2日号3面)に続き、6月1日に施行される特定商取引法の「書面電子化」規定の政省令案(※1)
に指摘される課題などについて、ネットワークマーケティング研究所(NMI、横浜市)の宮澤政夫代表に聞いた。
宮澤 政夫代表
―――――昨年11月〜12月に行われた政省令案のパブリックコメントにNMI代表として意見を提出し、 概要書面の電子化における承諾取得の効力などに関して要望を行った。ほかに、どのような意見を出したか。
「セキュリティ関連の記載は一読しただけでは意図が掴みづらい。例えば、電磁的交付の前に説明しなければならない事項の一つとして、 消費者が電子書面の閲覧に使用する電子計算機は『サイバーセキュリティを確保していること』が指定された(訪販の場合は省令案第10条第3項)。 では、サイバーセキュリティが確保されていることを事業者はどのようにして確認すればいいのか。解説や具体例を示すように求めた(※2)。 また、電子書面は『改変が行われていないかどうかを確認することができる措置が講じられていること』が必要とされている (訪販の場合は省令案第8条第8項第2号)。こちらの具体例なども詳しく示すように意見した(※3)」
―――――ほかに意見した箇所で、気になった点は。
「行政処分の対象になる禁止行為の一つとして、不正な手段で消費者の承諾を代行したり、消費者による電子書面の受領を代行する行為が定められた (訪販の場合は省令案第18条第1項第9号チ)。この『代行』禁止の要件が入ったことに注目している」
―――――理由は。
「電子化が始まれば、遠隔地に住んでいる消費者に電磁的交付を行うケースが増えるだろう。直に会うことが難しい分、 承諾を得ようとしている相手が書面を求める本人かどうか、確認するプロセスが重要となってくる。その際、代行禁止のルールに抵触しないため、 どのような方法で本人確認を行うことが適切か、ガイドライン等で説明すべきと意見した」
―――――連鎖販売の業界でいうと、電子化が議論となる以前から、登録手続きで他人に成りすましたり、氏名等を詐称する悪質な事案が取りざたされてきた。
(続きは2023年2月9日号参照)