NMI・宮澤政夫代表に聞く 「書面電子化」問われる政省令案 ㊥
意思確認自体が事業者の負担に」
宮澤 政夫代表
―――――電磁的交付の前提となる消費者の承諾について、省令案は、消費者に自身の「氏名」と、 事業者から説明された内容を「理解した旨」を「記入」してもらい取得すると定めている(訪問販売の場合は省令案第?条第5項)。 検討会の報告書は自筆署名等による取得を求め、口頭や〝チェックボックス〟による承諾を認めないよう提言した。 本紙の取材に消費者庁も〝チェックボックス〟による取得を除外する考えを示した。これについてどう捉えるか。
「まず指摘したいのは、省令案の文章を読んでも、どのような取得方法が許容されており、出来ないこととされているのか、それが分かりにくい。 消費者庁には、その点を通達やガイドラインで例示するよう求めたい。〝チェックボックス〟で言うと、オンライン上の確認手段として広く普及していると思う。 例えば、具体的な項目と内容を箇条書きで示し、順番に『理解した』等のチェックを入れてもらう手法を認めないというなら、 そのことをきちんと説明しないと混乱が生じるのではないか」
―――――省令案は、電子書面の「写し」を任意の第三者にも電子メールで送信するか消費者に確認し、求められた場合は電磁的交付と 「同時に送信」する義務を定めた(訪販の場合は省令案第?条第3項および同条第6項、連鎖販売等の概要書面も「写し」送信の対象)。 いわゆる〝第三者提供〟ルールだが、どう受け止めたか。
「第三者提供の仕組みは、もともと、デジタルに不慣れな高齢者の消費者被害を防ぐため、親族等を介在させる必要性が検討会で議論され、 途中から『高齢者だけに限定した議論は不自然』といった意見を踏まえ、年齢にかかわらず第三者へ『写し』を提供するルールとして提言されたと理解している。
また、検討会の報告書の原案段階では努力義務の扱いだったものが、正式な報告書では義務レベルの表現に引き上げられた。 報告書の提言がほぼそのまま政省令案に採用されており、事業者の立場からは厄介な手続きと言えると思う。仮に入れるとしても努力義務で良い。 義務とすることには反対する」
―――――具体的にどういったハードルが想定されそうか。
(続きは2023年2月2日号参照)