NMI宮澤代表に聞く「連鎖販売と参入規制」 

書面交付とク・オフ「すでに事前規制に近い」業界の消極的レスポンス「あっても不思議でない」
▲ネットワークマーケティング研究所 
  宮澤 政夫代表
  前回(7月28日号1面)に続いて、日本司法書士連合会(以下日司連)と日本弁護士連合会(以下日弁連)による連鎖販売取引の参入規制案をめぐり、 ネットワークマーケティング研究所(NMI)の宮澤政夫代表に話を聞いた。(インタビュー実施日は7月7日)
事前規制が弱い=u意見に違和感」
  ―――日司連と日弁連の参入規制導入論に反対する意見を伺った(前回参照)。日司連は、事後規制≠ニ事前規制≠フ組み合わせで法律をタイプ分 けした場合、現行の特商法は事後規制≠ェ強い一方で事前規制≠ェ弱いとして、関連トラブルの状況を踏まえれば、 事前規制≠強める方向を検討すべきとの考え方を取っている。これについて、どう受け止めるか。
 「登録制等を想定した事前規制≠フ強化の方向性には大いに異議がある。  まず、事後規制≠ェ強くて事前規制≠ェ弱いというが、こちらとしては事前規制≠ェ弱いとは理解していない。 例えば、概要書面等の交付義務とそれに連動したクーリング・オフの仕組みは、現場の感覚からするとすでに事前規制≠ノ近い。 しかも、ク・オフできる期間(=?日間)は訪問販売の8日間より2倍以上長い。事前規制≠ェ弱いという意見に違和感を持つ。  消費財の流通を目的とした業態には、連鎖販売のほかに店舗販売、通信販売、訪問販売などがあるが、 その中でも連鎖販売はもっとも強い法規制を受けている。仮に、現状の特商法が事後規制′^だとしても、 行政処分や刑事罰の適用を通じて消費者被害を防止する役割が有効に機能している。業界の多くの企業と傘下の個人事業者は、 法律に反しないよう教育と管理に努めており、現行法の抑止力が働いている。将来に向けても、現行の法規制によって問題のある商法は排除していけると思う。

事前規制が弱い=u意見に違和感」
 ただし、若者に関わる被害の問題や投資商法∞情報商材≠ネどに起因するトラブルが立法事実として明らかで、その防止を目的に、 連鎖販売以外の6類型を含めた共通的な措置を特商法全体で検討することには反対しない。また、特商法以外の法制度の運用や改正、 新法による規制で解決できる場合はあるだろうし、それにも賛成する」

  ―――日司連が想定する登録制度は、すき間事案化している所謂「後出しマルチ」について、政令で連鎖販売の一類型として規定すべきとしている。 どう考えるか。
 「登録制度などとは切り離して、問題の実態をよく調べた上で、現行法における連鎖販売の課題として所管庁が見直しを提案するなら、 問題解決の方法を検討する必要性を否定しない」

  ―――仮定の話となるが、特商法の施行5年後見直し規定や2団体の提言を受けて、連鎖販売の参入規制が所管庁で検討されることになった場合、 業界からどのような反応があると考えられるか。
 「あくまで私見だが、業界全体で一致した姿勢が見られるとは思わない。参入規制に反対の立場を取る企業ばかり、ということにはならないのではないか」

 
業界の判断材料に残存者利益の観点
―――理由は。
 
 

(続きは2022年8月4日号参照)