NMI宮澤代表に聞く「連鎖販売と参入規制」
傘下の個人事業者にもリスク、矯角殺牛≠危惧
▲ネットワークマーケティング研究所
宮澤 政夫代表
日司連、日弁連が準備する連鎖販売取引の参入規制案をMLM業界はどう受け止めるのか。
20年以上に渡って業界の課題を分析するネットワークマーケティング研究所(NMI、横浜市)の宮澤政夫代表に話を聞いた。宮澤 政夫代表
(インタビューはオンラインで7月7日実施)
「過去に訪問販売で見られた類似の動きや今回の論、業界の現状を踏まえた私見を述べるなら、特商法で連鎖販売に参入規制を設ける意見に反対の立場を取る。 理由は大きく3つ。営業の自由を保障した憲法の理念に反すること、新規参入による市場の競争環境を劣化させる恐れがあること、 副業を含めた成年個人の起業・就業の機会を減らし国民経済上の利益も減らす恐れがあることから、そう考える」
―――一一つ目の営業自由の観点について。
「職業選択の自由を定めた憲法?条は営業の自由も保障していると考えられている。この営業の自由の権利を前提とするなら、 社会的に有益と認められる消費財を自らの意思で流通・販売するシステムを選択・実行する自由は、誰にも与えられていると理解できる。 仮に、その流通形態の一部が特商法上の連鎖販売に抵触するという理由だけで、事前に登録などした事業者以外に活動を認めないなら、 22条の理念に反するのではないか」
―――一二つ目の競争環境を劣化させる恐れについて。
「市場の競争原理にゆだねるだけでは、消費者の利益向上や資源の効率利用が進まない場合、 法律による参入規制や行政指導を必要とする分野が存在することは事実として認識している。では、現在の業界はどうかというと、一定の競争が促され、 競争の効果が消費者の商品・ブランドの選択に寄与していると思う。
消費者トラブルの問題も、特商法の執行や各社のコンプライアンス面の努力などを通じて、1970〜2000年代に比べると改善の方向にあると考える。 参入規制を言う側が指摘する、若者に被害の多いマルチ商法≠竍後出しマルチ≠ニいった問題は、現行の特商法や金融商取引法、消費者契約法、 景品表示法などの関連法規の運用で解決を図り得るのではないか。
(続きは2022年7月28日号参照)