ニュースの断面 特商法の「書面電子化」

「第三者関与」、高齢者要件は見送り濃厚

年齢に因らず希望すれば同時交付、事務局が提案

 6月30日に行われた「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」の第4回会合(7月14日号1面詳報)では、 法定書面の電磁的交付における「第三者関与」のあり方をめぐって、 家族等の第三者にも電子書面の提供が必要なケースを高齢者から承諾を取得する場合に限らず、 年齢にかかわらず同時交付を希望する全てのケースとする案が事務局から示された。これに対して、 消費者側委員と事業者側委員の双方から明確な反対の意見は述べられず、 昨年の法案審議の段階から争点の一つだった高齢者限定の同時交付ルール化は見送られる可能性が高くなった。
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「年齢等による義務付け困難」

 「第三者関与」のアイデアは当初、電磁的交付への承諾を得ようとする相手が高齢者などの場合、家族等の第三者にも電子書面を同時に提供したり、 第三者からも電磁的交付への承諾を取得するものとして浮上。特商法改正案を審議した昨年の国会で、参考人として出席した消費者庁から答弁の形で示され、 参議院の附帯決議でも「高齢者などが事業者に言われるままに本意でない承諾をしてしまうことがないよう、 家族や第三者の関与なども検討する」ことが求められていた。
 このため、5月30日の第3回検討会では、トラブルの深刻化を防ぐ見守り°@能を維持する観点などから、消費者側委員から強く導入が求められた一方、 事業者側委員は、年齢で区切ることの難しさや事業者に提供されることになる第三者の連絡先等の情報の扱いを理由に懸念を示していた(6月9日号1面詳報)
 ここでの意見も踏まえ、事務局は第4回検討会に提出した議論のたたき台となる資料で、 「法律に根拠なく個人の権利に差を設けることは不可能であるとの前提に立つと、 年齢等の属性によって第三者の関与を政省令で義務付けることは困難」と説明(資料「3 第三者の関与」を参照)


 

(続きは2022年7月21日号参照)