改正特商法と書面電子化 通達で明確化〝指示してWEB契約〟は訪販

電話・メールも同様、通販に当たらず 一定期間経過後の自発的申込は状況で左右
 6月1日に施行を控える改正特定商取引法(書面電子化関連を除く)。この改正点の考え方などを示した解釈通達が2月9日、消費者庁から公表された。 通達では、メール等による電磁的な申し出が可能となる「クーリング・オフ電子化」において、事業者に求められる対応のあり方などを解説(2月17日号4面参照)。 さらに、来年施行の「書面電子化」規定を念頭に、訪問販売規制逃れの手口を容認しない狙いから、 営業所等以外の場所でWEB等により申し込みを受けた取引が訪販に該当するケースの考え方を示した。通達のポイントを見ていく。

訪販の定義に追記
 公表された通達は「特定商取引に関する法律等の施行について」。国の法執行の指針として各経済産業局と内閣府沖縄総合事務局に通知された。条文や政省令が見直される毎に、 通達も修正・追記が行われてきた。
 そして、今回の通達で注目されるのが、訪問販売の定義(第2条)に触れた箇所。営業所等以外の場所で売買契約の申し込みを受け、契約を締結する取引について、次のような考え方を示した。 「販売業者等が、営業所等以外の場所において勧誘を行い、又は営業所等において特定顧客に対して勧誘を行い、 外形的に顧客が契約の申込み又は締結に係る手続を販売業者等のウェブサイトを介して行うなど情報処理の用に供する機器を利用する方法を用いて行った場合であっても、 例えば当該手続が販売業者等の指示により勧誘に引き続いて行われるなど、実質的には販売業者等に申込みをし又は販売業者等とその場で契約を締結したといえるのであれば、 通信販売には該当せず、訪問販売に該当する。」
 簡略すると、事業者が消費者宅を訪ねるなどして勧誘し、事業者の指示の下でWEBサイトの入力フォーム経由で申込・契約締結の手続きが取られた場合、 一連の取引は訪問販売であり通信販売とはみなさないという考え方になる。

背景に国会審議
 通達を出した消費者庁の取引対策課は、訪問販売に該当する申込・契約締結の手続きについて、本紙の取材に、通達で触れた「ウェブサイトを介して行う」方法以外に電話、 メールも含まれる旨をコメント。「勧誘した後、『会社に電話してくれ』などと言って(消費者に)電話させ、申し込ませている場合は、 形式上は電話で申し込んでいる形になるため通信販売のようにもなるが、そうではない」とする。
 一体、どのような理由から、訪問販売の定義を明確化する考え方を改めて示したのか。実は、書面電子化をめぐる昨年の通常国会での法改正審議が関わっている。
 書面電子化をめぐっては、公的な検討の場でほとんど議論されずに政府の主導で法案に盛り込まれたことから、 新たな消費者トラブルを呼び込む懸念を理由に消費者系団体を中心に強い反発が発生。国会でも複数の野党議員が電子化反対の立場から質疑を行った。

次長答弁を踏襲


(続きは2022年2月24日号参照)