社説 推計値減、物価高とDX遅れで
日本訪問販売協会がまとめた2023年度の「訪問販売業界の売上高推計値」は1兆4502億円で、6年連続のマイナス成長となった。前年度比は2.89%減で、減少幅は0.66ポイント拡大。コロナ禍の影響をひきずった過去2年度の減少幅を上回った。
推計値のピークは96年度の3兆3400億円。以降は長期トレンドとして縮小傾向が続いており、24年度の推計値も「非常に厳しいのではないか」(協会事務局)という状況だ。
30年近くに及ぶマイナス成長の大きな背景には、成長を続けるEC市場に押されていること、商材の差別化が困難となっていること、販売員やディストリビューターの高齢化、ダイレクトセリングというモデルの退潮などが指摘される。
業界に特有の要因も大きい。例えば、2005年に火が付いた悪質リフォームの社会問題化。住宅リフォーム系の訪問販売が軒並み影響を受け、翌2006年度の減少幅は7.52%もの大きさとなった。
さらに、リフォーム問題を境として特定商取引法の大型処分が年ペースで行われるようになった。事業の撤退や業態転換が散見されるようなり、縮小傾向に拍車をかけた。
特商法以外の関連法規改正の影響も大きかった。一例が2008年に施行された改正割賦販売法。ダイレクトセリング系加盟店に対する与信は、特にショッピングクレジットで大幅に厳格化され、単価の高い耐久系商材の販売が難しくなった。これを背景に2009年度の推計値は2兆円を切った。
また、推計値の基礎データは、協会に加盟する正会員の売上高を採用しているため、正会員数が減少すれば推計値も減ることになる。2兆円を切る前年の2008年度、正会員数は24社も減少した。これは、「訪問販売消費者救済基金」のあり方や過量販売規制における「目安」作りをめぐる正会員と事務局の紛糾で、反発した企業が退会を選んだことがある。
ひるがえって、23年度の減少幅の拡大の特徴は何か。大きな要因と言えるのは物価高と、急速に進む社会のDX化への遅れだ。2022年より世界全体で始まった物価高を受けて、国内DS各社も値上げを実施。生活必需品とは言えない商材は買い控えの対象となり、このような商材を主力とするDSが苦戦を余儀なくされた。DX化は、コロナ禍以前と比べれば遥かに取り組みが進んでいる。しかし、ECをはじめとする他の業態と比べれば遅れを取っており、利便性の観点から顧客獲得に難を生じる形となっている。物価高対策は国の政策の如何による。一方のDX化は各社の政策に負う部分が大きい。活用・浸透のスピードを早める取り組みが必要とされている。
推計値のピークは96年度の3兆3400億円。以降は長期トレンドとして縮小傾向が続いており、24年度の推計値も「非常に厳しいのではないか」(協会事務局)という状況だ。
30年近くに及ぶマイナス成長の大きな背景には、成長を続けるEC市場に押されていること、商材の差別化が困難となっていること、販売員やディストリビューターの高齢化、ダイレクトセリングというモデルの退潮などが指摘される。
業界に特有の要因も大きい。例えば、2005年に火が付いた悪質リフォームの社会問題化。住宅リフォーム系の訪問販売が軒並み影響を受け、翌2006年度の減少幅は7.52%もの大きさとなった。
さらに、リフォーム問題を境として特定商取引法の大型処分が年ペースで行われるようになった。事業の撤退や業態転換が散見されるようなり、縮小傾向に拍車をかけた。
特商法以外の関連法規改正の影響も大きかった。一例が2008年に施行された改正割賦販売法。ダイレクトセリング系加盟店に対する与信は、特にショッピングクレジットで大幅に厳格化され、単価の高い耐久系商材の販売が難しくなった。これを背景に2009年度の推計値は2兆円を切った。
また、推計値の基礎データは、協会に加盟する正会員の売上高を採用しているため、正会員数が減少すれば推計値も減ることになる。2兆円を切る前年の2008年度、正会員数は24社も減少した。これは、「訪問販売消費者救済基金」のあり方や過量販売規制における「目安」作りをめぐる正会員と事務局の紛糾で、反発した企業が退会を選んだことがある。
ひるがえって、23年度の減少幅の拡大の特徴は何か。大きな要因と言えるのは物価高と、急速に進む社会のDX化への遅れだ。2022年より世界全体で始まった物価高を受けて、国内DS各社も値上げを実施。生活必需品とは言えない商材は買い控えの対象となり、このような商材を主力とするDSが苦戦を余儀なくされた。DX化は、コロナ禍以前と比べれば遥かに取り組みが進んでいる。しかし、ECをはじめとする他の業態と比べれば遅れを取っており、利便性の観点から顧客獲得に難を生じる形となっている。物価高対策は国の政策の如何による。一方のDX化は各社の政策に負う部分が大きい。活用・浸透のスピードを早める取り組みが必要とされている。