社説 翻弄され続ける業界
ダイレクトセリング業界において、22年初頭から顕著となってきた物価高騰の影響が更に強まっている。コロナ禍を出発点とする原料・運送・人権費等の上昇、ロシアの軍事侵攻に代表される紛争の影響などを背景とする世界的事象とはいえ、重くのしかかっていることは変わりない。高騰が3年近くも続く中で、価格転嫁とコスト削減の限界ラインに迫りつつある。
本紙が実施した物価高騰に関するアンケート(4~5面)で、長期化している物価高騰の影響が「拡大してきた」「どちらかというと拡大してきた」とした回答は、全体の約7割。影響が「落ち着いてきた」「どちらかというと落ち着いてきた」は約1割に過ぎなかった。
23年12月に実施した同様のアンケートで、影響の拡大を回答した会社は6割だったため、以前に増して物価高の影響が強まっていると推察される。
24年の1年間に商品・サービスを値上げした会社は約4割。23年12月のアンケートで値上げを実施していた会社は6割弱だったため、値上げの動きが抑制されたように見える。
しかし、7割が物価高騰の影響が拡大しているとした中で、値上げの必要性がなかったとは考えにくい。業界全体で値上げが相次いだ22年~23年は、複数回の値上げや二ケタの値上げが珍しくなかった。すでに思い切った値上げに着手しており、そこに更なる値上げは深刻な顧客離れを招くと判断された可能性がある。
24年に値上げした会社の過半数は、リピート減や顧客の離脱といったマイナス影響を生じたと回答。ほとんど影響はなかったという回答も4割弱を占めたが、どこまでの価格転嫁を出来たかは聞いていない。生活必需品ではない製品を主力とする場合、値上げをせずとも買い控えの対象になり得てくる。一昨年の値上げが24年に入ってじわじわとボディブローのように効いてくるケースも聞く。
アンケートで尋ねた、コスト上昇対策として見直されていた条件・費用の上位は、「調達ルート、取引先」「販売促進費、イベント・催事費」。4割弱が着手しており、この2つ以外は「容器・パッケージの形態、材料」「製品の原材料、成分、処方」「通信費、旅費・交通費」などが比較的多かった。
ただ、特に販促費の縮小は、それと引き換えに新客開拓に響きかねない。製品に関連する削減は、従来品との比較によって顧客満足度の低下につながる可能性もある。各社とも、ネガティブな影響を可能な限り避けるための工夫を凝らしているものの、やはり限界がある。
物価高騰は今後も続くと考えざるを得ず、その影響も避けられないだろう。苦境を脱するためには政府の抜本的対策が待ったなしだ。
本紙が実施した物価高騰に関するアンケート(4~5面)で、長期化している物価高騰の影響が「拡大してきた」「どちらかというと拡大してきた」とした回答は、全体の約7割。影響が「落ち着いてきた」「どちらかというと落ち着いてきた」は約1割に過ぎなかった。
23年12月に実施した同様のアンケートで、影響の拡大を回答した会社は6割だったため、以前に増して物価高の影響が強まっていると推察される。
24年の1年間に商品・サービスを値上げした会社は約4割。23年12月のアンケートで値上げを実施していた会社は6割弱だったため、値上げの動きが抑制されたように見える。
しかし、7割が物価高騰の影響が拡大しているとした中で、値上げの必要性がなかったとは考えにくい。業界全体で値上げが相次いだ22年~23年は、複数回の値上げや二ケタの値上げが珍しくなかった。すでに思い切った値上げに着手しており、そこに更なる値上げは深刻な顧客離れを招くと判断された可能性がある。
24年に値上げした会社の過半数は、リピート減や顧客の離脱といったマイナス影響を生じたと回答。ほとんど影響はなかったという回答も4割弱を占めたが、どこまでの価格転嫁を出来たかは聞いていない。生活必需品ではない製品を主力とする場合、値上げをせずとも買い控えの対象になり得てくる。一昨年の値上げが24年に入ってじわじわとボディブローのように効いてくるケースも聞く。
アンケートで尋ねた、コスト上昇対策として見直されていた条件・費用の上位は、「調達ルート、取引先」「販売促進費、イベント・催事費」。4割弱が着手しており、この2つ以外は「容器・パッケージの形態、材料」「製品の原材料、成分、処方」「通信費、旅費・交通費」などが比較的多かった。
ただ、特に販促費の縮小は、それと引き換えに新客開拓に響きかねない。製品に関連する削減は、従来品との比較によって顧客満足度の低下につながる可能性もある。各社とも、ネガティブな影響を可能な限り避けるための工夫を凝らしているものの、やはり限界がある。
物価高騰は今後も続くと考えざるを得ず、その影響も避けられないだろう。苦境を脱するためには政府の抜本的対策が待ったなしだ。