社説 シェアリンク、活用の道は
経営難や市場規模の縮小を背景に、米MLMの大手がMLM事業から撤退して別のモデルに転換する事例が相次ぐ。転換先の多くはアフィリエイトプログラム。すでに競合の激しい市場だけに、どれほどの勝算を見込むか判然としないが、業界にとっては転換自体が驚きをもって受け止められている。
この流れが米市場でさらに広がるのか、あるいは海を越えて波及するのか。現時点では未知数というしかない。ただ、アフィリエイトが日本の各社にとって縁遠いモデルでないことは言える。一例が、シェアリンクやパーソナルリンクなどと呼ばれる仕組み。7~8年前から外資を中心に導入され、今では珍しくなくなっている。
よく見られるのは、個々の会員に紐づいたURLをSNS等で見込み客に送ってもらい、このURLを経由して自社のWEBサイト等で製品の注文に至った場合、手数料の支払いを行ったり、MLMの報酬計算の実績に反映させる仕組み。 見込み客には割引クーポンなどを発行し、会員と同程度の価格で購入できる特典を提供する。リンク方式ではなく、個々の会員に紐づいたWEBサイトを用意する会社もみられる。
しかし、シェアリンクのような仕組みが、会員にとって大きな収入源となっているケースがあるかというと、耳にしない。収入を得られる機会を増やす「付帯サービス」に収まっているところが多い。
理由の一つは、あくまでMLMという枠内のモデルであること。リクルート活動や説明会の主催、既存会員のフォローなど、従来のビジネス活動に割く労力が優先される。兼業で取り組んでいる場合も、やはり本業が優先される。
また、対面・口コミによる報酬のほうの実入りが良ければ、あえて手を出す必要性に薄い。報酬率が決して低くないとしても、比較すれば見劣りすることが少なくない。
組織の年齢層でも左右されてくる。年齢層が高ければ腰が重くなることは言うまでもないが、親和性が高いと考えられる若年層~中年齢層でも、特定商取引法というハードルが立ちふさがる。
シェアリンクのような仕組みを採用する会社は、ほぼ例外なく、MLMビジネスの勧誘と捉えられないように細かいルールを策定し、フィールドへ周知を図っている。法遵守に神経を使うこと自体に異論はないが、興味を持つ会員の及び腰を誘っている面は否めない。
現在の業界を見渡すと、シェアリンクのような仕組みを積極的に浸透させようとしている会社や、効果的に活用している会員グループは、一握りにとどまる。ただ今後、成功例の誕生と共有が進めば、状況が変わることも考えられる。定着に至っていないが、普及はしている。試行錯誤を続けるべきだ。
(2024年12月5日号)
この流れが米市場でさらに広がるのか、あるいは海を越えて波及するのか。現時点では未知数というしかない。ただ、アフィリエイトが日本の各社にとって縁遠いモデルでないことは言える。一例が、シェアリンクやパーソナルリンクなどと呼ばれる仕組み。7~8年前から外資を中心に導入され、今では珍しくなくなっている。
よく見られるのは、個々の会員に紐づいたURLをSNS等で見込み客に送ってもらい、このURLを経由して自社のWEBサイト等で製品の注文に至った場合、手数料の支払いを行ったり、MLMの報酬計算の実績に反映させる仕組み。 見込み客には割引クーポンなどを発行し、会員と同程度の価格で購入できる特典を提供する。リンク方式ではなく、個々の会員に紐づいたWEBサイトを用意する会社もみられる。
しかし、シェアリンクのような仕組みが、会員にとって大きな収入源となっているケースがあるかというと、耳にしない。収入を得られる機会を増やす「付帯サービス」に収まっているところが多い。
理由の一つは、あくまでMLMという枠内のモデルであること。リクルート活動や説明会の主催、既存会員のフォローなど、従来のビジネス活動に割く労力が優先される。兼業で取り組んでいる場合も、やはり本業が優先される。
また、対面・口コミによる報酬のほうの実入りが良ければ、あえて手を出す必要性に薄い。報酬率が決して低くないとしても、比較すれば見劣りすることが少なくない。
組織の年齢層でも左右されてくる。年齢層が高ければ腰が重くなることは言うまでもないが、親和性が高いと考えられる若年層~中年齢層でも、特定商取引法というハードルが立ちふさがる。
シェアリンクのような仕組みを採用する会社は、ほぼ例外なく、MLMビジネスの勧誘と捉えられないように細かいルールを策定し、フィールドへ周知を図っている。法遵守に神経を使うこと自体に異論はないが、興味を持つ会員の及び腰を誘っている面は否めない。
現在の業界を見渡すと、シェアリンクのような仕組みを積極的に浸透させようとしている会社や、効果的に活用している会員グループは、一握りにとどまる。ただ今後、成功例の誕生と共有が進めば、状況が変わることも考えられる。定着に至っていないが、普及はしている。試行錯誤を続けるべきだ。
(2024年12月5日号)