社説 MLM、持続可能なモデルは
今年に入り米市場で、大手企業がMLMを別のビジネスモデルに転換する事例が相次いでいる(10月17日号1面)。直接の理由は経営難で、市場規模縮小や元会員の集団訴訟、規制強化に動く米FTCといったネガティブな要因も指摘される。転換後はアフィリエイトプログラムに移行するケースがほとんど。MLMの事業モデルが問われつつあるという見方もできる。
ダイエットプログラムを主力とし、経営難に見舞われていたビーチボディはMLM事業の段階的縮小を発表。来年1月1日をもって終了させ、アフィリエイトプログラムに転換するとした。すでに着手済みのD2C事業、Amazonでの販売、代理店等のパートナーシップ販売は継続・強化させていく。
会員にはアフィリエイト移行の選択肢を用意。移行が希望されず、顧客数や売上が減少する可能性も想定の上、現状のMLMは行き詰まりを避けられないと判断した。上級会長は、今の市場の動きや消費者ニーズを踏まえれば、MLMのモデルは「旧態依然」で「維持できない」と、業界に対する痛烈な〝置き土産〟とも言える声明を出した。
今年は4月にビューティー・カウンター、9月にロダン&フィールズもMLM事業からの撤退と、モデル転換を公表している。アフィリエイトプログラムに移行するとしたロ社は、既存の販売実績を基準にすれば会員の9割はより高い報酬を得る可能性がると説明し、組織の引き留めを図っている。
3年前、大手投資ファンドの傘下に入っていたビュ社は、店舗・オンライン販売を組み合わせたオムニチャネルを目指したが、MLMとカニバリゼーションを起こすなどした結果、ファンドが手を引くことに。株を買い戻した創業者が撤退を表明した。ただ、新規チャネルの具体的な中身は明らかになっていない(9月末時点)。
MLMで競合他社への事業譲渡、廃業や経営難にともなう組織移動は珍しくない。しかし、会社を維持したまま大きく異なるビジネスモデルに舵を切るケースは、少なくとも大手の間ではほとんど見られなかったと言える。アフィリエイトは成長市場だが、それだけに競合が激しい。にもかかわらず転換を選んだことになる。
台頭する所謂ギグエコノミーもライバル化している。本業の隙間時間で稼げて、時間・場所に縛られない点はMLMと共通する。ただ、MLMほどの初期投資や報酬要件としての継続購入、リクルートは求められず、そこまで高い収入を求めない層のニーズに応えている。
日本で米市場のように大手が事業転換した事例は今のところ見られない。しかし、市場の状況と抱える課題は似通う。成長と持続を可能とするモデルを改めて模索する必要がある。
(2024年11月21日号)
会員にはアフィリエイト移行の選択肢を用意。移行が希望されず、顧客数や売上が減少する可能性も想定の上、現状のMLMは行き詰まりを避けられないと判断した。上級会長は、今の市場の動きや消費者ニーズを踏まえれば、MLMのモデルは「旧態依然」で「維持できない」と、業界に対する痛烈な〝置き土産〟とも言える声明を出した。
今年は4月にビューティー・カウンター、9月にロダン&フィールズもMLM事業からの撤退と、モデル転換を公表している。アフィリエイトプログラムに移行するとしたロ社は、既存の販売実績を基準にすれば会員の9割はより高い報酬を得る可能性がると説明し、組織の引き留めを図っている。
3年前、大手投資ファンドの傘下に入っていたビュ社は、店舗・オンライン販売を組み合わせたオムニチャネルを目指したが、MLMとカニバリゼーションを起こすなどした結果、ファンドが手を引くことに。株を買い戻した創業者が撤退を表明した。ただ、新規チャネルの具体的な中身は明らかになっていない(9月末時点)。
MLMで競合他社への事業譲渡、廃業や経営難にともなう組織移動は珍しくない。しかし、会社を維持したまま大きく異なるビジネスモデルに舵を切るケースは、少なくとも大手の間ではほとんど見られなかったと言える。アフィリエイトは成長市場だが、それだけに競合が激しい。にもかかわらず転換を選んだことになる。
台頭する所謂ギグエコノミーもライバル化している。本業の隙間時間で稼げて、時間・場所に縛られない点はMLMと共通する。ただ、MLMほどの初期投資や報酬要件としての継続購入、リクルートは求められず、そこまで高い収入を求めない層のニーズに応えている。
日本で米市場のように大手が事業転換した事例は今のところ見られない。しかし、市場の状況と抱える課題は似通う。成長と持続を可能とするモデルを改めて模索する必要がある。
(2024年11月21日号)