社説 衆院選、特商法規制の行方は
発足後わずか1週間で新内閣が衆議院を解散、3年ぶりの総選挙になだれ込んだ。10月27日の投開票まで間もない中、全国消費者団体連絡会が政党アンケートを行い、特定商取引法の規制強化の必要性を主要6政党に訊いた(1面参照)。連立政権を組む自公は規制強化に慎重な姿勢。主要野党は積極派と消極派に分かれた。
自民は営業自由、地域経済・雇用などの観点から、規制強化は「慎重に検討されるものと考える」と回答。執行の強化、再勧誘禁止の徹底、事業者の自主的な取り組みを「総合的に進めていく」とした。若者の「マルチ商法」被害の対策は、法執行によって「処分実績を積み重ねている」との認識を示した。
公明は、21年改正に基づく「様々な取り組みを進めている」と回答。厳正な法執行によって「着実に実績を積み上げ」て、「更なる特定商取引法の規制の強化について、必要な検討を行うべき」とした。
21年改正後、与党は特商法の見直しに消極的な方針を維持してきた。アンケートでも、その方針は変わっていない。
昨年11月の臨時国会で自見英子消費者担当大臣(当時)は、野党議員から法改正の必要性を問われ、執行状況の確認や21年改正の効果検証を優先すると答弁。前大臣の河野太郎氏も同年の通常国会で同様の方針を述べていた。
今年6月、連鎖販売取引への参入規制の導入などを訊ねた野党議員の質問主意書に対しても、内閣は、否定的見解を示した河野氏の答弁を踏襲する答弁書を決定。「悪質マルチ」に対する法規制の厳罰化や被害救済措置の拡充、「モノなしマルチ」対策は「回答困難」とした。
一方、野党側は、議席の2割強を占める立憲が、不招請勧誘規制の「強化は当然」と回答。連鎖販売は、消費者教育の重点的実施と法執行の強化を進め、被害の拡大を防ぐためとして22歳以下との取引禁止を検討するとした。
他方、1割弱を占める維新は「現行の特定商取引法でも厳格に執行すれば、かなりの被害は防げる」として、与党に歩調を合わせた。その代わり、特商法に基づく消費者権利の教育や業者の義務の周知徹底を小学校段階から行うことが重要とした。
現政権は首相も消費者担当大臣も過去、消費者行政分野で具体的な考えを強く示したことはない。政権が維持されれば、アンケート通りの方針が続くことになるとみられる。
ただ、くすぶったままの旧統一教会問題と、説明責任が果たされていない裏金・脱税問題で、与党には逆風が吹く。議席が過半数割れを起こすとの事前予想も飛び交っており、投票結果が特商法規制の行方を左右する可能性を念頭に置く必要もありそうだ。
自民は営業自由、地域経済・雇用などの観点から、規制強化は「慎重に検討されるものと考える」と回答。執行の強化、再勧誘禁止の徹底、事業者の自主的な取り組みを「総合的に進めていく」とした。若者の「マルチ商法」被害の対策は、法執行によって「処分実績を積み重ねている」との認識を示した。
公明は、21年改正に基づく「様々な取り組みを進めている」と回答。厳正な法執行によって「着実に実績を積み上げ」て、「更なる特定商取引法の規制の強化について、必要な検討を行うべき」とした。
21年改正後、与党は特商法の見直しに消極的な方針を維持してきた。アンケートでも、その方針は変わっていない。
昨年11月の臨時国会で自見英子消費者担当大臣(当時)は、野党議員から法改正の必要性を問われ、執行状況の確認や21年改正の効果検証を優先すると答弁。前大臣の河野太郎氏も同年の通常国会で同様の方針を述べていた。
今年6月、連鎖販売取引への参入規制の導入などを訊ねた野党議員の質問主意書に対しても、内閣は、否定的見解を示した河野氏の答弁を踏襲する答弁書を決定。「悪質マルチ」に対する法規制の厳罰化や被害救済措置の拡充、「モノなしマルチ」対策は「回答困難」とした。
一方、野党側は、議席の2割強を占める立憲が、不招請勧誘規制の「強化は当然」と回答。連鎖販売は、消費者教育の重点的実施と法執行の強化を進め、被害の拡大を防ぐためとして22歳以下との取引禁止を検討するとした。
他方、1割弱を占める維新は「現行の特定商取引法でも厳格に執行すれば、かなりの被害は防げる」として、与党に歩調を合わせた。その代わり、特商法に基づく消費者権利の教育や業者の義務の周知徹底を小学校段階から行うことが重要とした。
現政権は首相も消費者担当大臣も過去、消費者行政分野で具体的な考えを強く示したことはない。政権が維持されれば、アンケート通りの方針が続くことになるとみられる。
ただ、くすぶったままの旧統一教会問題と、説明責任が果たされていない裏金・脱税問題で、与党には逆風が吹く。議席が過半数割れを起こすとの事前予想も飛び交っており、投票結果が特商法規制の行方を左右する可能性を念頭に置く必要もありそうだ。