潮目変わったサロンビジネス
ダイレクトセリング化粧品では、コロナ禍を経てオンラインツールやアプリなどを駆使してコミュニケーションを図る取り組みが増加した。現在、サロンにおけるリアル対応と、デジタル施策によるオンライン対応を両軸とする流れは浸透しつつある。
ポーラのサービスプログラム「ポーラ プレミアム パス」(=PPP)は、一連の流れを象徴する施策と言える。2023年4月18日にスタートしたコロナ禍で顧客との対面によるカウンセリングや販売が困難な状況下で、同社の店舗ではSNSなどで情報発信をしてフォローを行ってきた。一方、ユーザーの購買行動も変化し、サロンだけでなくECをはじめとするさまざまな販売チャネルからポーラブランドにアプローチし、商品を購入する動きが活発化した。PPPというサービスプログラムは、これまで販売チャネルごとに保有していた顧客IDを共通化し、シームレスでブランドを訴求する仕組みというのが骨子となっている。場所やチャネルを問わず、購入履歴や肌分析結果を確認することができるほか、顧客の特性に合わせてより細やかなサービスを提供する。スタートから1年が経過した現在、EC経由のユーザーがサロンに来店し、肌分析やエステサービスを受けるケースも増えており、導入の成果がみられる模様。
一方で、コロナ禍を経ても顧客接点のあり方を変えずにサロンビジネスを展開する企業も少なくない。例えば、日本メナード化粧品では、販売員や約20年前に導入したフェイシャルサロンといったリアル接点のみで商品・サービスを提供している。同社はテレビやインターネット等でサロン、商品の広告を積極的に展開しているが、購入先は前述したようなリアル接点というスタイル。ブランディングの手法は多様化しているが、顧客接点自体は変わっていないと言える。
販売チャネルの多角化は、ダイレクトセリング業界にとって鬼門のような存在であった。それは、本社主導で新たな販売チャネルを開拓することが、販売組織の商圏を侵害するおそれがあったからだ。販売員自身がECでさまざまな商品・サービスを利用することが一般的となった現在、そのような風潮は薄れつつあり、コロナ禍での消費行動の変化によって潮目が大きく変わった。販売チャネルのシームレス化に取り組んでいる企業はポーラだけでなく、老舗各社に見られるものだ。その理由の1つには、販売組織の高齢化が挙げられる。ECを展開している企業においても、現状は売上の大半を販売組織が担っているが、将来的には大きく変わっていく可能性がある。今後数年で、「次の一手」のスタンダードが定まっていくかもしれない。
ポーラのサービスプログラム「ポーラ プレミアム パス」(=PPP)は、一連の流れを象徴する施策と言える。2023年4月18日にスタートしたコロナ禍で顧客との対面によるカウンセリングや販売が困難な状況下で、同社の店舗ではSNSなどで情報発信をしてフォローを行ってきた。一方、ユーザーの購買行動も変化し、サロンだけでなくECをはじめとするさまざまな販売チャネルからポーラブランドにアプローチし、商品を購入する動きが活発化した。PPPというサービスプログラムは、これまで販売チャネルごとに保有していた顧客IDを共通化し、シームレスでブランドを訴求する仕組みというのが骨子となっている。場所やチャネルを問わず、購入履歴や肌分析結果を確認することができるほか、顧客の特性に合わせてより細やかなサービスを提供する。スタートから1年が経過した現在、EC経由のユーザーがサロンに来店し、肌分析やエステサービスを受けるケースも増えており、導入の成果がみられる模様。
一方で、コロナ禍を経ても顧客接点のあり方を変えずにサロンビジネスを展開する企業も少なくない。例えば、日本メナード化粧品では、販売員や約20年前に導入したフェイシャルサロンといったリアル接点のみで商品・サービスを提供している。同社はテレビやインターネット等でサロン、商品の広告を積極的に展開しているが、購入先は前述したようなリアル接点というスタイル。ブランディングの手法は多様化しているが、顧客接点自体は変わっていないと言える。
販売チャネルの多角化は、ダイレクトセリング業界にとって鬼門のような存在であった。それは、本社主導で新たな販売チャネルを開拓することが、販売組織の商圏を侵害するおそれがあったからだ。販売員自身がECでさまざまな商品・サービスを利用することが一般的となった現在、そのような風潮は薄れつつあり、コロナ禍での消費行動の変化によって潮目が大きく変わった。販売チャネルのシームレス化に取り組んでいる企業はポーラだけでなく、老舗各社に見られるものだ。その理由の1つには、販売組織の高齢化が挙げられる。ECを展開している企業においても、現状は売上の大半を販売組織が担っているが、将来的には大きく変わっていく可能性がある。今後数年で、「次の一手」のスタンダードが定まっていくかもしれない。