不招請勧誘、「裾切り」案の違和感
16年改正の〝施行5年後見直し〟附則や苦情件数の高止まりなどを理由に、特定商取引法の大型改正を求める消費者関連団体の間で、
訪問販売等におけるオプトアウト型の不招請勧誘規制強化で、契約金額が一定額未満であれば規制を適用しない「裾切り」案が浮上している(12月7日号1面参照)。
異例のアイデアの背後には、規制強化の議論を速やかに進めたい団体側の思惑が窺える一方、その異例さや不招請勧誘自体を問題視してきた姿勢との不一致を理由として、
業界からは違和感を訴える意見が聞こえる。
団体側が唱える不招請勧誘規制は、〝訪問販売お断りステッカー〟などの形で、事前に勧誘を拒否する旨を示した消費者に対して、勧誘を行うことを禁じる仕組み。 現行の特商法の再勧誘規制は、消費者から直接に勧誘を受けないと意思表示された場合の勧誘を禁じているが、ステッカーの法的効力は認めていない。 このため、複数の地方自治体は条例でステッカーを有効化しているが、これを特商法でも実現させるための改正運動が続いている。
このような中で浮上してきた「裾切り」案は、代金が1万~2万円程度の低額な契約について、不招請勧誘規制の適用除外にしようというもの。代金だけでなく、 4カ月~5カ月程度の契約期間に収まる場合も、適用除外とするアイデアが出てきている。
提案の根拠には、食事・食材の宅配サービスや新聞の宅配といった、社会的に有用と考えられる取引形態には一定程度、配慮する必要があると説明。 訪問販売のクーリング・オフが3000円未満の現金取引に適用されないという、金額を条件とした適用除外の〝前例〟があることも理由にあげる。
しかし、見方を変えれば、ク・オフの〝3000円ライン〟のほかに、金額を要件とした「裾切り」ルールは存在しない。 〝3000円ライン〟が導入された法改正は88年で、35年も前 にさかのぼる。 08年改正で導入された過量販売規制は、具体的な金額を要件に示すことをあえて避けている。金額を基準とした適用除外は、 あくまで例外的措置と捉えるほうが妥当だろう。1万~2万円程度という金額の根拠も不明だ。
また、そもそも論として、法改正を求める側は、不招請勧誘自体が迷惑という論旨で訴えてきた。最近は、不招請勧誘という一般に馴染みの薄い用語に変わって、 〝お呼びでない勧誘〟という新ワードまで持ち出している。にもかかわらず、これまでの主張を軌道修正してまで、金額等を基準に有用な不招請勧誘と、 そうではない不招請勧誘を区切ろうとする動きには、業界から違和感を表明する声が聞こえる。
団体側が唱える不招請勧誘規制は、〝訪問販売お断りステッカー〟などの形で、事前に勧誘を拒否する旨を示した消費者に対して、勧誘を行うことを禁じる仕組み。 現行の特商法の再勧誘規制は、消費者から直接に勧誘を受けないと意思表示された場合の勧誘を禁じているが、ステッカーの法的効力は認めていない。 このため、複数の地方自治体は条例でステッカーを有効化しているが、これを特商法でも実現させるための改正運動が続いている。
このような中で浮上してきた「裾切り」案は、代金が1万~2万円程度の低額な契約について、不招請勧誘規制の適用除外にしようというもの。代金だけでなく、 4カ月~5カ月程度の契約期間に収まる場合も、適用除外とするアイデアが出てきている。
提案の根拠には、食事・食材の宅配サービスや新聞の宅配といった、社会的に有用と考えられる取引形態には一定程度、配慮する必要があると説明。 訪問販売のクーリング・オフが3000円未満の現金取引に適用されないという、金額を条件とした適用除外の〝前例〟があることも理由にあげる。
しかし、見方を変えれば、ク・オフの〝3000円ライン〟のほかに、金額を要件とした「裾切り」ルールは存在しない。 〝3000円ライン〟が導入された法改正は88年で、35年も前 にさかのぼる。 08年改正で導入された過量販売規制は、具体的な金額を要件に示すことをあえて避けている。金額を基準とした適用除外は、 あくまで例外的措置と捉えるほうが妥当だろう。1万~2万円程度という金額の根拠も不明だ。
また、そもそも論として、法改正を求める側は、不招請勧誘自体が迷惑という論旨で訴えてきた。最近は、不招請勧誘という一般に馴染みの薄い用語に変わって、 〝お呼びでない勧誘〟という新ワードまで持ち出している。にもかかわらず、これまでの主張を軌道修正してまで、金額等を基準に有用な不招請勧誘と、 そうではない不招請勧誘を区切ろうとする動きには、業界から違和感を表明する声が聞こえる。