コアユーザーの掘り起こしこそ

    ダイレクトセリング化粧品市場では、このところ高機能・高付加価値を強みとするハイブランドを投入・強化する取組みが顕著になってきた。コロナ禍の中、 化粧品市場全体は消費の落ち込みがみられたが、その中でも〝うち美容〟などによって、美容に高い関心をもつ層が増加。これを追い風に、コアユーザーのさらなる獲得を狙う。
 ポーラは、10月1日に新美容液「B.AグランラグゼⅣ」を発売する。価格は約8万円と、10年ほど前に化粧品市場でみられた〝超高級アイテムブーム〟を彷彿させるものだ。 国内のコアユーザーだけでなく、中国をはじめとした海外のユーザーにも海外の富裕層にも攻勢をかける狙いがあるとみられる。 「B.A」シリーズは、同社の最新研究開発成果をフィードバックし、さまざまなアイテムを展開してきた。今回で4代目となる「グランラグゼ」にも、 最新の研究成果をフィードバックされており、肌の細胞が分裂を休止している「G0期」に着目し、産生が高まるコラーゲン(コラーゲン6)を活性化させる仕組みを盛り込み、 オリジナル複合成分として、「姫蒲G0エキス」を配合した。国内化粧品市場では機能性競争に拍車がかかっており、化粧品としての機能性だけでなく、 デザインや使い心地といったアプローチで差別化を 図る動きも活発だ。「グランラグゼⅣ」では、パッケージに日本古来の〝折って包む〟文化を取り入れ、独自性を強調。この点からも、海外需要を見据えていると推察される。
 最高級ブランド「セルグレース」の強化を進めているナリス化粧品は、9月に同ブランドから新ベースメークを一斉に発売する。「セルグレース」のスキンケアラインは、 現在6代目となるが、中でも特徴的なのは、「デュプレ クリーム」。化粧品としての機能性はもちろんのこと、2つに分かれたクリームとして提供することで、 使用直前に適度に混ぜることができ、理想的な使用感と肌の仕上がりを得られるアイテムとなっている。8年もの歳月をかけ、 200回を超える試作を経て製品化に至ったという開発ストーリーに加え、何かと効率が求められる現代において、あえて〝使用者が直前に混ぜるという手法〟 を採用するというこだわりによって、極めて独自性の高いアイテムとして完成した。
 このほか、日本メナード化粧品では、9月にシワ改善美容液「薬用ラインズリセット」を投入。 オリジナル成分「VEP―M」は2021年にシワを改善する効果の承認を取得しており、競争が激化するエイジングケア化粧品市場の中で差別化を図っていく。 消費者の価値観やニーズが多様化の一途を辿る中、化粧品企業には以前にも増して、独自性の高い製品開発が求められている。