機運の高まりに期待

    新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行して1カ月が経過した。ニューノーマル対応の社会が定着し、ダイレクトセリング化粧品市場では、 コロナ禍で大変が中止となっていたリアルイベントについては、再開する動きが強まっている。ECなど非接触型の販売チャネルによるアプローチも継続し、 需要の取り組みに注力している。
 オッペン化粧品が毎年5月に実施している、本社敷地内にあるばら園を一般公開するイベント「ローズウィーク」は、コロナ禍の2020年、2021年は中止、2022年からリアル 開催となった。行動規制が緩和された今年は、ばら園の公開だけでなく、メークアップイベントやマルシェといった各種催しも開かれた。「ローズウィーク」は、 近年同社が積極的に取り組んでいる地域との連携を象徴する施策と言える。隣接する大阪学院大学では、これまでに就活のためのメークセミナー、 地元を知り地域を活性化させる地域創生講座「吹田学」への協力等の連携を図ってきた。今回のローズウィークでも、 大学とのコラボによるフォトコンテストを開催した。ものづくりにおいても、ロングセラーの保湿クリームのリニューアルに際し、 容器デザインを大阪のデザイン専門学校とコラボ、コンペで決定した。コロナ禍で地域や人同士のつながりが希薄にならざるを得ない状況下で、 同社は地域密着型のダイレクトセリング企業としての側面を強めた。
 コロナ禍では、消費者ニーズの多様化が大きく多様化した。ポーラでは、柔軟な販売チャネルの設計、利便性向上によって変化した需要の取り込みを図っている。 店舗やECなど、これまで販売チャネルごとに保有していた顧客IDを共通化し、購入前の顧客も対象としたサービスプログラム「ポーラ プレミアム パス」 を導入。公式アプリ「POLAアプリ」もリニューアルし、アプリからも「ポーラ プレミアム パス」の登録が可能になり、 アプリからポーラが提供する全サービスにアクセスできるよう導線を整えた。公式コーポレートサイトと公式オンラインストアの統合も実施し、 オンライン関連の施策と対面販売などのリアル施策を有機的な結合を進めている。主力の委託販売チャネルでは、BDのプロフェッショナル化と同時に、 オンライン決済・直送の導入などビジネスのスピードアップも図り、事業の持続性強化に取り組んでいる。積極的に行ってきた異業種とのコラボイベントも再開。 従来とは異なるアプローチのリアル店舗も展開した。
 物価上昇などを背景に消費行動は一進一退の状況にあるが、機運の高まりを期待し、企業特性を活かした施策による動きが活発化している。