書面の電子化 消費者庁が方針急変、再び紛糾も
11月末に政省令案のパブリックコメントが始まった特定商取引法の「書面電子化」規定。この中で、
電磁的交付の対象外になるとみられていたスマートフォンが認められ、DS業界で驚きをもって迎えられる中、
予期された通り消費者系団体等の反発を呼んでいる。2年前に内閣府の規制改革推進会議で浮上し、ようやく目途がつくように見えた電子化だが、
再び紛糾の気配が窺える。
政省令案の方向性を議論した消費者庁の有識者会議は報告書で、「書面並みの一覧性(=面積) を有する形で交付書面と同様の内容について表示可能な機器」を消費者が使用している必要性を提言。会議で取引対策課長は、 具体的な画面サイズを「11インチぐらい」と説明したことから、パソコンやタブレットPCを持たず、 スマホしか使わない消費者には電磁的交付が困難と事業者側が批判していた。
これに対して、政省令案は画面サイズを〝4.5インチ以上〟と指定。スマホ容認に舵を切り、業界から歓迎の声が聞こえるところ、 消費者系団体等からは、報告書をないがしろにする手のひら返しとして、パブコメに反対意見が寄せられつつある。
客観的に見て方針の急変と言えるスマホ容認。業界にとって規制の緩和であることは間違いないものの、諸手の賛同は難しい側面もある。 明確な理由の説明なく、一方的に制度の根幹に関わるルールを定める行為は、訪問販売や連鎖販売などの取引類型において、 書面のデジタル化の前提となる消費者の承諾の「控え」をアナログな紙で交付させるという本末転倒ぶりと「コインの裏表」の関係にあるといえるからだ。
そして、この紙による「控え」の交付は、電子化が浮上した内閣府の規制改革推進会議で具体例にあげられた、 オンライン完結型の英会話講習サービスといった特定継続的役務提供取引には求められていない。一方で、 省令案におけるスマホ容認の恩恵をオンライン型特役は受けられる。 「11インチぐらい」とした課長の説明はその場しのぎだったと批判されておかしくないにもかかわらず、 消費者庁の上部に位置する内閣府の意向が優先されたように思える。
また、画面サイズが〝4.5インチ以上〟に緩和されたものの、省令案は、電磁的交付で提供する情報は消費者が 「明瞭に読むことができるように表示しなければならない」とも指定している(訪販の場合は第8条第3項)。この「明瞭」 という要件をスマホの画面でどうやってクリアするか。具体的な中身をガイドラインで示す考えを消費者庁長官は12月1日の定例会見で述べた。 もし、非現実的な要求が含まれた場合、スマホ容認も意味を失いかねない。事業者と消費者の双方が納得の行く目安が示される必要がある。
政省令案の方向性を議論した消費者庁の有識者会議は報告書で、「書面並みの一覧性(=面積) を有する形で交付書面と同様の内容について表示可能な機器」を消費者が使用している必要性を提言。会議で取引対策課長は、 具体的な画面サイズを「11インチぐらい」と説明したことから、パソコンやタブレットPCを持たず、 スマホしか使わない消費者には電磁的交付が困難と事業者側が批判していた。
これに対して、政省令案は画面サイズを〝4.5インチ以上〟と指定。スマホ容認に舵を切り、業界から歓迎の声が聞こえるところ、 消費者系団体等からは、報告書をないがしろにする手のひら返しとして、パブコメに反対意見が寄せられつつある。
客観的に見て方針の急変と言えるスマホ容認。業界にとって規制の緩和であることは間違いないものの、諸手の賛同は難しい側面もある。 明確な理由の説明なく、一方的に制度の根幹に関わるルールを定める行為は、訪問販売や連鎖販売などの取引類型において、 書面のデジタル化の前提となる消費者の承諾の「控え」をアナログな紙で交付させるという本末転倒ぶりと「コインの裏表」の関係にあるといえるからだ。
そして、この紙による「控え」の交付は、電子化が浮上した内閣府の規制改革推進会議で具体例にあげられた、 オンライン完結型の英会話講習サービスといった特定継続的役務提供取引には求められていない。一方で、 省令案におけるスマホ容認の恩恵をオンライン型特役は受けられる。 「11インチぐらい」とした課長の説明はその場しのぎだったと批判されておかしくないにもかかわらず、 消費者庁の上部に位置する内閣府の意向が優先されたように思える。
また、画面サイズが〝4.5インチ以上〟に緩和されたものの、省令案は、電磁的交付で提供する情報は消費者が 「明瞭に読むことができるように表示しなければならない」とも指定している(訪販の場合は第8条第3項)。この「明瞭」 という要件をスマホの画面でどうやってクリアするか。具体的な中身をガイドラインで示す考えを消費者庁長官は12月1日の定例会見で述べた。 もし、非現実的な要求が含まれた場合、スマホ容認も意味を失いかねない。事業者と消費者の双方が納得の行く目安が示される必要がある。