求められる独自性の創出

  ダイレクトセリング化粧品各社の直近業績が相次いで発表され、市場全体がコロナ禍による影響を引き続き受けていることが明らかになった。
 ダイレクトセリング化粧品最大手のポーラ・オルビスホールディングスの2022年12月期第3四半期では、 ポーラブランドは売上高が同10.7%減の694億5600万円、営業利益が同22.4%減の85億6800万円となった。チャネル別にみると、 主力の委託販売チャネルが同10.4%減と、厳しい状況が続く。委託販売チャネルでは、新規・既存ともに顧客数の回復傾向にあり、 オンライン経由の新規顧客が増加傾向にあるという。同社はITを活用した情報発信などによってニューノーマルに対応したダイレクトセリングのあり方を模索している。 同時に、11月22日には体験型店舗「POLA SQUARE FUTAKO」を東京・二子玉川にオープンするなど、 リアル施策においても新しい試みを行い、縮小傾向にあるリアル接点の回復を狙う。商品政策では、「B.A」や「リンクルショット」 「ホワイトショット」といった看板ブランドを強化して、ハイブランドとしてのブランディングを積極的に行う。
 9月に本決算を迎えたノエビアでは、主力の化粧品事業の売上高が470億3200万円で、コロナ禍の影響で微減となった。商品政策では、 コラーゲンに着目した新処方を採用した美容液「ノエビア フックラセラム」を11月に発売するなど、 美白やエイジングケアといった人気カテゴリーを強化している。
 このほか、中間決算を迎えた企業では、アイビー化粧品が売上高27.3%減と大幅な減少となった。レギュラー製品や注力アイテムの 「レッドパワーセラム」の販促を図ったものの、夏の第7波の影響によって、対面での活動が大きく制限されたことで、売上減を余儀なくされた。 アイビー化粧品は、他ダイレクトセリング化粧品企業が他チャネルへの展開を進めている一方で、インターネット販売は一切行っていない。 シーボンは連結ベース売上高が8.2%減。同社はオンラインを活用した集客活動に注力し、 インスタグラムやツイッターといったSNSと連動した営業施策を実施し、集客活動の効率化・新規顧客層の拡大を図った。その結果、 新規来店数は前年同期比28.0%増、新規契約者数は同40.4%増、新規売上高は同30.0%増と伸長した。 コロナ禍で制約されていたイベントプロモーションも再開の動きが強まっており、同手法からの集客数は前年同期比53.6%増と大幅に回復している。
 コロナ禍のニューノーマル社会の中、消費者の価値観の多様化が進んだ。販売戦略、商品政策ともに、より柔軟な姿勢が求められている。