多様化踏まえた体制を

  「女性の活躍推進」について は、日本は世界的に後進国と言 わざるを得ない。しかしながら、 ダイレクトセリング業界、特に 化粧品分野は、業界の黎明期か ら女性の力によって成長してき た分野であり、価値観や働き方 の多様化が進む現代社会に合わ せてあり方を強化してきた。
 ポーラは2020年6月にサ ステナビリティ方針を策定し た。この中で、ジェンダー、年 齢、地域格差といったさまざま な「壁」の解消を掲げた。この うち、「人材活躍」では、女性 の役員比率や管理職比率にも触 れており、2029年までに女 性役員比率を30%~50%に、女 性管理職比率を50%以上にそれ ぞれ引き上げる目標を設定。ま た、社内にダイバーシティ推進 委員会を設け、女性の活躍推進 に加え、LGBTQ+、海外人 材など、多様な価値観やバック グラウンドをもつ人材を集める ことで、時代の変化に柔軟に対 応している。販売現場において も、女性の活躍を推進する取り 組みを行っている。昨年から行 っている「法人設立」モデルに よって販売員のプロフェッショ ナル化を進め、事業の持続可能 性を強化。また、グループ横断 研修や、次世代リーダー育成プ ログラムといった後継者育成の 制度によって、主力の委託販売 チャネルを担うビューティーデ ィレクターの専門性を高めると ともに、女性が十分に力を発揮 できる体制強化を図る。
 他社においても、「女性の活 躍推進」への取り組みは活発だ。 シーボンは、社員の女性比率は 9割以上で、女性管理職比率は 8割以上、女性役員比率は5割 以上となっている。女性をサポ ートするさまざまな制度を用意 しており、社員・管理職ともに 女 性割合が高い。ショートタイ ム正社員制度や育児復帰セミナ ー、社員の家族を会社に招待す るファミリーイベント等、ライ フステージに合わせた施策を用 意した。また、ナリス化粧品で は、時代の流れに先駆けて、従 業員のライフスタイルに合わせ た多様な環境を整備してきた。 性別を問わず、誰でも働きやす い社内環境を構築している。同 社では、「女性の活躍推進」が 社会的に注目される15年以上前 から、産前休暇以外の制度につ いて、男性社員にも同じ制度の 適用を行ってきた。2017年 には、育児と介護に関わる人の ための両立支援を目的とした 「サポートブック」を作成する など、一般社員だけでなく、管 理職の理解を深める教育を行 い、環境整備に努めてきた。女 性だけでなく男性の働き方改革 にも力を入れている。それらの 結果、2020年度の男性育休 取得率は20%で、取得者のうち 3分の2が3カ月の育休を取得 した。「女性の活躍推進」から さらに進み、性別・年齢にとら われない「エイジレス」「ジェ ンダーレス」の取り組みが特徴 と言える。