化粧品市場では、オンライン 施策が各社から相次いで打ち出 されている。コロナ禍で増加し た〝おうち美容〟需要を掘り起 こすべく、ニューノーマルに対 応した次の一手による差別化が 急務となっている。同時に、主 要チャネルであるダイレクトセ リング、サロンビジネスについ てもテコ入れの動きがある。近 年、サロン展開の浸透に合わせ て、「販売員のさらなるプロフ ェッショナル化」を目指す企業 が増えている。
　ポーラでは今夏、委託販売チ ャネルにおいて新たな法人設立 モデルをスタートさせた。これ まで個人事業主を中心に組織を 拡大してきた同社だが、法人設 立を支援することで、事業の継 続性や安定性向上を図るとして いる。ポーラビジネスに携わる 約３万５０００人のビューティ ーディレクターらの、さらなる 「プロフェッショナル化」を進 める狙いだ。法人設立支援では、 委託販売契約を結び、個人事業 主として活動するビジネスパー トナーに「新しい選択肢」を加 える取り組みという位置づけ。 ①働き方、キャリアの多様化、 安定した雇用、②女性経営者の 創出、地域連携、③ビジネスの スピードアップと拡張││の３ 点によって、事業基盤の強化を 図るとしている。同社は、全国 各地やオンラインで開催してい る「ＰＯＬＡリクルート・フォ ーラム」において、美容分野へ の意識が高い女性をメーンター ゲットに人材確保を行ってい る。教育制度も強化しているほ か、新卒に向けても「ビューテ ィーディレクター」という働き 方を提案。法人設立の支援と合 わせて、仕事としての魅力を提 案している。
　ナリス化粧品では、美容や化 粧 品販売に関わる女性のスキル アップを目的にさまざまな講座 を実施している。販売力強化の 基本セミナーでは、２０２１年 ４月～９月の半期において、前 年比１３７％と伸長。美容関連 のスキルを向上させるととも に、販売力を身につけて自身の 事業や活動に結びつけたい女性 が増えているという。現在、同 社にでは全国に１０代～９０代まで 約２１万人が販売員として登録し ている。この中で、希望者には 約３カ月で集中して販売力を強 化するセミナーを開催してい る。コロナ禍前は、すべてナリ ス化粧品の講師との対面セミナ ー形式で実施してきたが、現在 はオンラインでも習得できるセ ミナーの充実化を図っている。 その結果、さまざまなライフス タイルをもつ人が受講しやすい 環境が構築されたことや、不安 定な就職環境から、安定して長 く働ける仕事として美容業界を 希望する女性が増えたことか ら、２年連続で受講者が増加し たという。
　プロフェッショナルの育成方 法も、コロナ禍で変化した価値 観やライフスタイルに対応して 進化しているようだ。