新たなチャンスの予感

  〝リベンジ消費〟への期待感 が高まる中、化粧品分野では、業 績面での回復傾向がみられる。 緊急事態宣言等でサロン等が営 業休止となり打撃を受けた昨年 と異なり、ニューノーマル対応 のサロン運営によって巻き返し を図っている。合わせて、多様 化したライフスタイルや価値観 を踏まえた商品・サービスも相 次いで投入されているが、中で もにわかに注目されているの が、性別や年齢を問わない「ジ ェンダーレス」のカテゴリーだ。
 ナリス化粧品は、ドラッグス トアなどの店頭販売流通で取り 扱うナリスアップブランドのス キンケアブランドである「ネイ チャーコンク」や「アクメディ カ」について、女性だけでなく 男性の使用者も増えていること などを受けて、このほどスキン ケア化粧品の使用に関する調査 を行った。その結果、スキンケ ア品の共用は、男性では約5割、 女性では約3割が行っているこ とが分かった。スキンケア習慣 については、女性はもとより、 最近では若年男性でも浸透しつ つある。一方、年齢を重ねた男 性は、若年層よりスキンケアに 興味がある人が多い傾向がある ものの、実際の使用率が低いこ とが調査から分かった。もとも と、男性のスキンケアニーズに ついては潜在需要があるとして 各社があの手この手で開拓に取 り組んできたが、この調査にお いてもニーズがあることが明ら かにされた。
 ポーラでは、「ダイバーシテ ィ経営」と「ジェンダー平等」 を掲げ、今年から男性への肌分 析を実施している。近年、男性 の美容意識の高まりはあるもの の、未だ美容に対してハードル を感 じやすい人も少なくないこ とから、自分の肌を知ってもら うきっかけ作りと位置づけてい る。その結果、2021年1月 ~8月までの男性の肌分析の体 験人数は、合計で6547件に 上り、昨年の同期間の約73倍と なった。年代別では、20代が最 も多く、30代、40代、50代、60代と続き、若年層ほど体験者が 多い。一方、肌分析体験人数を 昨年と比較した上昇率でみる と、60代が最も多くなった。ま た、体験者を対象に行ったアン ケートで、コロナ禍によるマス ク生活で、以前よりも肌状態が 気になったり、オンライン会議 の普及によって自分の肌を見る 機会が増えたことも、美容への 意識の高まりに関係しているこ とが分かった。70代や80代男性 の肌分析人数も増加し、幅広い 世代にスキンケアへの関心が広 がっているという。
 コロナ禍によって社会情勢が 変わり消費者個々人の生活も、 変化が生じた。外出機会の減少 に伴う気持ちの浮き沈み、〝コ ロナ太り〟など、さまざまなキ ーワードが生まれたが、スキン ケア習慣の浸透も、年齢・性別 関係なく進んでいるようだ。新 たなビジネスチャンスが生まれ る予感がする。