リアル・デジタルの両軸こそ

  ダイレクトセリング業界で は、ニューノーマルに対応した 商品・サービスが次々と打ち出 されている。ECやオンライン カウンセリンといったデジタル 施策の比重が増えているが、サ ロンビジネスなどリアル施策の 強化も行われている。コロナ禍 で社会のあり方が大きく変わっ たが、現在はアフターコロナに 向けた過渡期とも呼べる状況で あり、コロナ収束後の「次の一 手」を見据えて戦略が不可欠だ。
 ダイレクトセリング企業のシ ステム支援を手掛ける日本ネッ トワークシステムズ(JNS) は、アフターコロナの社会にお いても、引き続きニューノーマ ルに対応したビジネス環境が求 められるとして、社員がテレワ ーク可能な環境の構築や、イベ ントのWeb開催など、リモー ト化して会員の活動を支援する ことが重要と指摘している。同 時に、近年、大規模な自然災害 が多発しており、さらに首都直 下型地震や南海トラフ巨大地震 といった巨大地震への備えとし てBCP(事業継続計画)が不 可欠であり、その観点からも、 デジタル施策を強化することの 重要性を強調している。ダイレ クトセリング業界においても、 進捗状況の差はあっても、各種 デジタル施策の導入が進んでお り、その成果が着実にあらわれ ている。
 例えば、サロンでのオンライ ンカウンセリングやオンライン セミナーの開催は、感染防止目 的に始まったものだが、家事や 育児をはじめ、さまざまな事情 で外出が難しい人々も手軽にア クセスできる手段として認知さ れ、活用が進んでいる。一例を 挙げると、ナリス化粧品の「オ ンラインスキンケアモニター」 のような、リアル店舗で実施し ていた取り組みを自宅でも受け ら れるサービスも増えており、 消費者が自分のライフスタイル に合わせてリアル・デジタル双 方を選ぶことができるようにな った。また、同社では、エステ ティシャンが自宅に訪問してサ ロンと同じ施術を受けられる 「おうちでエステ」といったサ ービスも提供しており、直接対 面できるリアル、手軽に利用で きるデジタル、それぞれのメリ ットを補完し合う環境を整えて いる。
 コロナ禍が日本国内で悪化し 始めた昨年春頃は、大半のサロ ン・ショップが営業休止を余儀 なくされた。その後は営業を再 開したが、感染を懸念する消費 者が多く、リアル施策は苦戦を 強いられてきた。その中で生ま れてきたのが、各社が実施する 各種デジタル施策だ。一方で、 一方で有効な手立てを打ててい ないケースもみられ、「次の一 手」には、企業間で開きがある 模様だ。約20年前、サロンビジ ネスがその後の事業に影響した ように、リアル・デジタルのバ ランスの取れた施策の導入こ そ、アフターコロナ時代のビジ ネスに求められている。