リアル・オンラインの相互活用

  1面で報じている通り、コロ ナ禍になって、ダイレクトセリ ング化粧品分野ではサロンのあ り方が変わった。無論、ブラン ドの発信拠点や地域の交流拠点 という基本的な役割は従来どお りだが、対面でのカウンセリン グや施術が難しい時期があった ことで、新たなサービスが生み 出された。従来型訪販に代わる 新しい顧客接点という役割を担 ってきたサロンは、その黎明期 から人と人が出会うリアル一辺 倒であったが、ここにきて新た な展開をみせている。感染防止 対策の強化やワクチン接種が進 んで明るい兆しが見始めてお り、次のステップを見据えてリ アル・オンラインを活用した接 点創出が盛んに行われている。
 ポーラはサロンにおいて、カ ウンセリングやワークショップ をオンライン化して新たなサー ビスを導入している。また、S NSなどを駆使してサロンの情 報を積極的に発信することで、 リアルで会うことが難しいケー スであっても、コミュニケーシ ョンを継続する工夫を凝らして いる。オンラインの各種サービ スは、「自宅にいながら美容の プロフェッショナルのアドバイ スなどを受けられる」という点 が最大のメリットだ。ナリス化 粧品も、その点に着目したサー ビス「オンラインスキンケアモ ニター」を2021年1月21日 から導入している。セルフエス テサロン「デ・アイム」では、 もともと「スキンケアモニター」 を提供しており、新規顧客との 接点として有効的に活用されて きた。「オンラインスキンケア モニター」は、デ・アイムで提 供してきたサービスをオンライ ンでも受けられるようになった ものだが、「利用者が自宅など 日常的に過ごしている空間で提 供する」という特徴を活かし、 より 利用者の目線で専属の美容 スタッフが適切にアドバイス等 を行える。コロナ禍になり、社 会のさまざまな場面で、これま でリアルで行ってきたサービス 等がオンラインに置き換わって いるが、同社はオンライン施策 を単なる「リアル施策の代わり」 とは捉えず、オンラインならで はの利点を活用し、訴求してい る。
 今の状況がいずれ落ち着いた 時、リアル・オンラインの各種 サービスはどう変化していくの か。コロナ禍前は、異業種との コラボレーションや商業施設で のブース出展は新規顧客との接 点として有効活用されてきた。 人との接触という、リアルなら ではの利点を生かした施策だ。 現在のような情勢では難しい が、事態が収束すれば、再びこ れらの施策が活用されるとみら れる。同時に、コロナ禍で生ま れた新たなサービスも並行して 展開されることで、サロンビジ ネス、ダイレクトセリングその ものが新しいステージにシフト していくのではないか。過渡期 にある現在、各社の今後の施策 に注目したい。