「プロ集団」の育成がカギ

  1面で報じているように、ポ ーラが委託販売チャネルにおい て新たな法人設立モデルをスタ ートさせた。個人事業主を中心 に組織を拡大してきた同社だ が、法人設立を支援することで、 事業の継続性や安定性向上を図 るとしている。ポーラビジネス に携わる約3万5000人のビ ューティーディレクターらの、 さらなる「プロフェッショナル 化」を進める狙いだ。
 法人設立支援では、委託販売 契約を結び、個人事業主として 活動するビジネスパートナーに 「新しい選択肢」を加える取り組 みという位置づけ。既に、8月 に大分県で法人が設立されたほ か、9月にも大阪府で設立予定 としており、今後も同様の動き が続くとみられる。この取り組 みの目的としてポーラは、①働 き方、キャリアの多様化、安定 した雇用、②女性経営者の創出、 地域連携、③ビジネスのスピー ドアップと拡張││の3点を掲 げている。現代人、特に女性の ライフスタイルや価値観が多様 化する中、ポーラは「ビューテ ィーディレクター」という働き 方を積極的に提案してきた。従 来型訪販が中心であった時代 は、家庭の主婦が販売員の主な 担い手だった。化粧品の愛用者 がその延長として販売員として 活動し、クチコミでその輪を広 げていくという仕組みだ。翻っ て現在、ポーラは「ビューティ ーディレクター」のプロフェッ ショナル化を進めており、ビジ ネスパートナーの対象を、かつ ての家庭の主婦から、「美容に 高い意識をもつプロ集団」へシ フトさせた。活動への入り口も、 全国各地やオンラインで開催し ている「POLAリクルート・ フォ ーラム」を中心にしており、 美容分野への意識が高い女性を メーンターゲットに、プロ意識 をもつ人材との接点創出を図っ ている。また、教育制度も強化 しているほか、新卒に向けても 「ビューティーディレクター」 という働き方を提案。キャリア アップ制度や福利厚生制度など を充実させて、仕事としての魅 力を強化してきた。
 法人設立支援という取り組み は、「プロ集団」へのシフトを さらに加速させる意味合いをも つ。女性の活躍推進が社会的に 求められる中、各地で女性経営 者を創出することで、地域経済 の活性化にも寄与するとしてい る。視点を変えると、ポーラに 限らず、ダイレクトセリング企 業では、事業の黎明期から多く の女性販売員が活躍し、長期に わたってビジネスを継続してき た。親から子へ事業をバトンタ ッチするケースも多いが、事業 継承には世代による考え方の差 や顧客層の違いといった課題も 少なくない。例えば、法人設立 してビジネスのプロ意識をもた せることで、よりスムーズに交 代できることも考えられよう。
 「プロ集団」の育成を強化し ているポーラの今後の動向が注 目される。