柔軟施策で〝おうち需要〟取り込め

 ニューノーマルのライフスタ イルが定着し、さまざまな分野 で“巣ごもり需要”を見込んだ 商品・サービスが目立つ。老舗 化粧品企業のナリス化粧品で は、外出自粛などの行動制限が 続き、多大なストレスに晒され ている消費者が少しでも在宅時 間を快適に過ごせるよう、昨年 から自宅エステサービスの強化 などを展開してきた。コロナ禍 の収束に見通しがつかない中、 同社は“おうち美容”をコンセ プトとした施策を打ち出し、需 要の掘り起こしを図っている。
 ナリス化粧品はもともと、セ ルフエステをメーンとした「デ ・アイム」や、専門のスタッフ によるクイックエステを提供す る「ビューティサロン」といっ たサロンにおいて、手軽に受け られるメニューで幅広い女性層 の支持を得てきた。コロナ禍に よって、価値観やライフスタイ ルが大きく変化した結果、「お 出かけをして気分をリフレッシ ュしたい」というニーズだけで なく、「さまざまな事情で外出 は難しいが、自宅でも外出と同 様に楽しみたい」という隠れた 需要があることが見えてきた。 同社は昨年、ECを軸とした新 ブランドを開発し、コロナ禍の 中で急進するECチャネルへの 対応を進めた。同時に、自宅で 美容を楽しめるよう、”究極の パーソナル空間”である自宅で もサロンと同じエステ施術を受 けられる「プレミアムエステ」 を導入した。さらに、1月には 「オンラインスキンケアモニタ ー」をスタートし、自宅にいな がら専属の美容部員とコミュニ ケーションをとってスキンケア レッスンが行えるようになっ た。これらの施策で“おうち美 容”需要を獲得してきた結果、 「セルグレース」や「マジェス タ」、 「ディアー ゼ ホワイト」 といった各スキンケアラインで 前年度を大幅に上回るアイテム もみられた。また、手洗いなど 衛生管理に気をつける習慣が増 えたことで、トイレタリーブラ ンドも前年度比2~3倍以上の 売上を達成したという。一方、 外出機会の減少によってリップ などのメークラインは売上を落 としたが、これは化粧品市場全 般でも同様の傾向がみられ、ラ イフスタイルの変化によって、 化粧品に求められる内容が多様 化していることを示している。
 ニューノーマルのライフスタ イルが今後どう変化していくの か予測するのは難しいが、コロ ナ禍の収束が見えない中、“お うち美容”への需要は当面続く とみられる。ナリス化粧品では、 昨年からの施策をさらに強化す るため、ロングセラーの家庭用 美顔器「メガビューティ」ブラ ンドから、初めての化粧品セッ ト「メガビューティ エステテ ィック」6月に発売する。美顔 器のニーズも増えており、集中 ケアセットで新規ユーザーへの フックとしていく。日々変化す る社会情勢に対し、柔軟に対応 できる施策が不可欠だ。