緊急事態宣言が全国的に解除 されて１カ月以上が過ぎたが、 首都圏を中心に新規感染者が再 び増加傾向にある。ワクチンの 開発などで状況が大幅に変わる まで、コロナ禍とは一進一退の 攻防が続くことになりそうだ。 ６月１９日には県をまたぐ移動の 自粛も緩和され、社会経済活動 も少しずつ再開しているが、 〝コロナ前〟と同様ではなく、 〝ウィズコロナ〟に合わせた様 式が求められる。ダイレクトセ リング化粧品分野では、感染防 止対策を十分に講じながら、新 しいサロンビジネスのあり方を 模索する動きがみられる。
　最大手のポーラは、サロンに おける重要なファクターである カウンセリングのオンライン化 を進めている。６月までに２５ ０のショップで導入し、９月ま でには１０００店舗でオンライ ンカウンセリングを実施すると している。これは、約６６０店 舗のポーラザビューティーを含 む約３９００店舗のポーラショ ップのうち、４分の１に相当す る。ポーラはこのところ、昨年 ７月にリニューアルを果たした スキンケアブランド「アペック ス」をはじめ、ＩＴ技術を活用 したサービスを導入している。 このため、営業現場のビューテ ィーディレクターも、デジタル ツールを使ったカウンセリング やフォローも比較的スムーズに 移行できるとみられる。施術な ど、顧客に直接触れるサービス は対面でなければ不可能だが、 オンラインでも可能な部分は、 極力接触を減らすことで、コロ ナ禍下のサロンビジネスモデル の構築をめざす。同社はまた、 コロナ禍の影響で営業を休止し た期間があったことから、契約 中のエステコースについては、 契約期間を通常１２カ月から１８カ 月に延長する措置をとった。
　店舗でのエステサービスとい うと 、施術に１時間以上を要す るケースが多いが、〝ウィズコ ロナ〟の時代では、より短時間 で行えるサービスが求められる かもしれない。ナリス化粧品の 「ナリス　ビューティサロン」 は、スキマ時間の利用などを想 定したクイックエステがメーン サービスで、１回３０分・低価格 （税込９９０円）で手軽に利用 できるピンポイントエステが強 みだ。ふとした時に来店できる よう、店舗の立地も駅チカなど の商業施設内である場合が多 く、働く女性を中心にニーズを 獲得している。同社はもともと、 セルフエステサロン「デ・アイ ム」で、手軽さを訴求したサービ スを展開してきた。緊急事態宣 言下では臨時休業を余儀なくさ れたが、現在は既存顧客・愛用者 を対象に営業を再開している。
　〝３密〟の回避が求められる 中にあっても、「キレイになり たい」というニーズは確実に存 在している。店舗での感染防止 を万全とした上で、さらにリス クを低減しながら施術を受けら れるメニューの開発が、今後は 重要性を増すと言えよう。