社説 リモート型勧誘、法遵守怠るな
新型コロナウイルス問題の浮上後、MLMのフィールドでリモート型勧誘の動きが加速している。対面勧誘の代替手段として必要に迫られた事情もあったが、
複数の主催企業で新規登録の増加など一定の成果も出つつある。コロナ問題の長期化が避けられない以上、このまま業界に定着する余地もあるが、その場合、
特商法をはじめとした関連法規の尊守が疎かにならないよう撒底が求められる。
政府は6月19日までに県境をまたぐ移動の制眼を全国的に解験。休業要請も終了し、コロナ問題は一山を超えた印象を受ける。
とはいえ、マスクの着用やこまめな消毒に加え、人間距離の確保は依然必須。MLM業界でも、対面の勧誘や会場への集客をコロナ以前のように行うことは難しい。
リモートワークや各種サービスのオンラインシアトが進む中で、リモート型勧誘が一過性のものに留まらず、勧誘手段のーつとして業界に広まる可能性は高い。
ただ、ここで改めて注意を払うべきなのが、特殊法の存在だ。通常の対面勧誘と同じくリモート型勧誘においても、販売目的等の告知、不実告知・重要事項
不告知の禁止をはじめとした連鎖販売規制ルールを守る必要があることには変わりない。特に、ビデを通話など介したリモート型勧誘は、やり取りの過程が 、
〝記鰍〝されやすいと考えられる分、対面時よりも一層、気を付けるべきとさえ言える。
また、連鎖販売には「契約終結前の概要書面交付」という、リモート型勧誘とは非常に相性の悪いルールが存在する。
周知の通り、ここでいう書面に電磁的記録は含まれないため、WEBサイトからPDF版の書面をダウンロードしてもらったり、
メールに添付して送るといった手段も取れない。対面での手渡しを行わないなら、あらかじめ会員や主宰企業、
それ以外の第三者から郵送しておくくらいしか手はないものの、書面交付規制の緩和の兆しが窺えない現状では、やるほかない。
オンライン登録の場合、概要書面の表紙などに印刷されたシリアルナンパーを入力させ、〝成りすまし〝等を防ぐ手法が業界では一般的となっている。
この ためオンライン登録なら、交付された概要書面が手元にある証拠になりえるとも考えられるが、
ナンバーだけを写真や口頭で伝える〝すり抜け"登繰の可能性も否定はできない。
あるいは、リモート型勧誘の相手については、概要書面の事前交付を必要としない所詮愛用会員に集中、制限してしまうというテもあるだろう。
この場合、製品の紹介に特化できるため、ライプコマースのようなテクニックが重視されてきそうだ。リモート型勧誘の推進を考えている主宰企業各社は、
ルールに則ったやり方をフィールドに浸透させることが求められる。