フレキシブルな活動こそ強み

 〝コロナ禍〟による緊急事態宣 言が全国に拡大してから約2週 間が経過した。大型連休後に宣 言が解除されるか否か、各地の 感染状況などを踏まえて判断さ れることになるが、一律の解除 は難しいという見方が強い(4 月28日時点)。外出自粛要請の 効果か、新たな感染者の急速な 増加は抑えられているように見 えるが、油断は禁物だ。
 ダイレクトセリング化粧品分 野では、サロンの臨時休業や営 業時間の短縮、新規受付の中止 などの措置を取っている。無論、 サロン内での衛生管理を強化し て感染防止に努めているほか、 施術を中止して物販やカウンセ リングのみを提供しているケー スもある。サロンの大半を直営 体制で運営しているシーボン は、 「フェイシャリストサロン」 を5月6日まで休業する決定を 下した。当初は、緊急事態宣言 が出された7都道府県を中心に 休業などを行っていたが、宣言 が拡大されたことを受けて判断 した。他方で、会員や販売員と いう個人事業主が運営する形態 のサロンでは、原則として販売 員や販売会社の判断に委ねられ ているケースが多い。サロンは、 事業の「見える化」に寄与する とともに、新たな顧客接点の場 として重要な役割を果たしてき た。現在、多くの地域ではサロ ン営業に制約がかかっている が、たとえサロンが休業してい ても、「極端な話、電話一本あ れば対応可能なのがこのビジネ ス」(老舗化粧品企業幹部)。 世界的に経済活動が停滞し、決 して楽観視できない状況ではあ るが、〝巣ごもり消費〟を見込 んだ新たなビジネスが生まれて いるのもまた事実だ。  3月~4月は、美白やUVケ アといった消費者ニーズが高い カテゴリーが賑わうシーズン だ。最大手のポーラでは、3月 2日に発売した新商品の日中用 クリーム・日焼け止め「B.A ライトセレクター」が発売3日 で2万個を販売。同商品は、新 技術を導入したUVケアアイテ ムとして注力商品と位置づけて いる。ナリス化粧品では、1月 に大幅リニューアルを果たした 基幹スキンケアブランド「ルク エ」が好調だ。ナリスブランド への入り口と位置づけられてい る「ルクエ」は、セルフエステ サロン「デ・アイム」とともに 重要な存在。5月にはジェル状 洗顔液を追加投入し、ラインナ ップの強化を図る。今年で創立 40周年を迎えるワミレスコスメ ティックスは、リニューアル発 売したベースメイクアイテムの 特徴や使い方をユーチューブの 公式チャンネルで取り上げてい るほか、ブログでは自宅で出来 るスキンケアを紹介するなど、 サロンに来店できない愛用者へ のフォローに努める。
 事態の収束にはとにかく〝我 慢〟だが、その中でも柔軟な発 想で〝やれることをやる〟のが、 フレキシブルに動けるこのビジ ネスの強みと言えるだろう。