Cコイン問題 消費者庁は後始末つけよ

本紙既報の通り、仮想通貨を称する「クローバーコイン」(以下Cコイン)の連鎖販売取引事業に特定商取引法で行政処分を受けた「48(よつば)ホールディングス」(以下48社)が、 会員から既払い金の返還を求める損害賠償等請求訴訟を相次いで起こされている(11月21日号1面・3面詳報)。事業開始から2年弱で217億円超を売り上げ、 Cコインの価値を担保するため人気仮想通貨のリップル(XRP)を大量に保有していたはずの48社。にもかかわらず返金の遅延を生じさせ、原告らに提訴を余儀なくさせた背景には、 処分した消費者庁の監督不行き届きが指摘される。
 48社を相手取った会員の訴訟は、本紙が確認しただけで3件が進行中(10月時点)。うち2件が集団訴訟で、東京地裁では原告8人が総額約2400万円の支払いを求めて争っている。 原告や関係者の話から推測するに、本紙が把握した3件の訴訟は氷山の一角でしかないと見られ、ほかにも多数の会員が返金を受けられずにいると考えられる。 
 訴訟の理由は返金手続きの大幅な遅れ。原告の一人は、昨年6月に解約申請を受理されたものの一向に返金されず、今年6月に弁護士を通じて内容証明を送付。 これにも反応がなく集団訴訟に打って出た。48社の内情に通じる関係者の話によれば、解約申請から返金までに要する期間は、昨年夏頃までは「1~2カ月ほど」だったが、 現在は「半年から1年」に長期化しているという。
 48社による返金は、保有するリップルを現金化し、送金代行サービス会社を介して口座に振り込む手順で行われてきた。が、関係者によれば、一定の期間に現金化できるリップルには 〝上限〟があり、この上限を超える量の解約申請が短期間に寄せられるケースが重なって、返金の遅延を生じているのだという。
 ただ事情がどうあれ、会員にとっては約束の返金がいつまでも行われないことに変わりはない。本来は不必要な訴訟費用を工面せざるを得ない状況に追い込まれている。
 このような状況で指摘されるのが、消費者庁に求められる被害回復に向けた役割だ。
 同庁の取引対策課は、処分時の記者会見で「(48社から)解約、返金請求の申し出には誠意をもって対応しているというふうに聞いている」「我々からも返金請求にきちんと応じるよう指導している。 (48社によって)適切に対応されるだろうと考えている」とコメント。しかし、それから2年を経過し、会員から訴訟が相次いでいる現状は、適切な返金がなされているとは全く言えない。
 17年12月に施行された改正特商法は、改善指示によって「購入者又は役務の提供を受ける者の利益の保護を図るための措置」を求めることができると規定した。48社の処分は旧法で行われ、 処分も改正法の施行前ではあるが、現実に返金作業が大幅に滞っている以上、改正法に基づく指示、指導を改めて行い、現実味のある返金計画の策定・履行と会員への周知を 48社に要請する必要があるのではないか。被害拡大の抑止は当然として、その回復にも最大限の努力が不可欠