社説 教材トラブル 訪販協は厳正な是正指導を
消費者行政の強化が進む中で、学習教材(指導付きを含む)の訪販トラブルが再び急増している。
この傾向が今後も続けば、行政処分や更なる規制強化に繋がる可能性がある。
日本訪問販売協会の消費者相談室が、今年4~6月に受け付けた正会員に係る「問題性あり」相談は14件と、 前年同期比3件減少したが、そのうち教材は8件と同4倍増になった。正会員の教材販売に係る「問題性あり」相談は、 2014年度に15件と全商品・役務の中でトップを占め、2位(健康食品の6件)を大きく引き離していた。 この状況は2015年度も続いた(但し、件数は11件に減少)が、2016年度は10件と健康食品(12件)に次ぐ2位となった。 その後、2017年度が6件、2018年度が8件となっていた。2019年度は第1四半期だけで昨年度分の件数に達した訳であり、 将に異常事態といえる。
因みに、今年度第1四半期の正会員の「問題性あり」相談件数の2位は「健康食品」で3件だった。
訪販協正会員の商品別売上規模を見ると(2017年度、訪販協調べ)、1位は「化粧品」で3802億円、2位が「健康食品」で2333億円。 これに対して「学習教材」は284億円(順位は8位)に留まる。教材の「問題性あり」相談件数はその売上規模と比較して、 その多さが突出していることに特に留意する必要がある。この教材販売正会員の「問題性あり」相談が急増している原因はどこにあるのか。 訪販協はその原因を突き止め、問題を発生させている当該正会員に対して適正にして厳正な指導を行う必要がある。
正会員の教材トラブルの多くは、中学3学年分の複数科目の教材を契約させるなどの過量販売に係るものだ。 過量販売には、特商法で解除規定を設けており、これを受けて訪販協は、学習教材を含む10の商品・役務に自主行動基準 「通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安」を設け、ここで定める目安を超える量の販売を行う場合は 「その契約の締結を必要とする当該顧客の特別の事情を適切な方法により確認等を行うことが望ましい」としている。
従って、訪販協が先ず取り組むべきことは、これら問題を引き起こしている正会員が、当該法令や自主行動基準をどのように受け止め、 対応しているのかについて厳正に質し、遵守の意向が確認できない(ビジネスモデル自体が過量販売を前提にしているなど)のであれば、 然るべきプロセスを経て除名処分を行うことも検討されるべきだ。
ジャパンライフは2016年12月以降、4回もの業務停止命令を受け、その後、破綻した。 同社が販売預託商法を開始した2000年度頃(消費者委員会調査資料)には既に訪販協の正会員であった。 訪販協を退会したのは2015年10月だ。従って、10数年間にわたって問題商法を展開していたと見られる。 この間、訪販協が同社の問題商法を見抜き、是正指導を行うなど厳正な措置とっておれば、少なくともその後の消費者被害は避けられた可能性がある。 今回の事態には迅速に対応すべきであり、ジャパンライフの場合と同じ轍を踏んではならない。
日本訪問販売協会の消費者相談室が、今年4~6月に受け付けた正会員に係る「問題性あり」相談は14件と、 前年同期比3件減少したが、そのうち教材は8件と同4倍増になった。正会員の教材販売に係る「問題性あり」相談は、 2014年度に15件と全商品・役務の中でトップを占め、2位(健康食品の6件)を大きく引き離していた。 この状況は2015年度も続いた(但し、件数は11件に減少)が、2016年度は10件と健康食品(12件)に次ぐ2位となった。 その後、2017年度が6件、2018年度が8件となっていた。2019年度は第1四半期だけで昨年度分の件数に達した訳であり、 将に異常事態といえる。
因みに、今年度第1四半期の正会員の「問題性あり」相談件数の2位は「健康食品」で3件だった。
訪販協正会員の商品別売上規模を見ると(2017年度、訪販協調べ)、1位は「化粧品」で3802億円、2位が「健康食品」で2333億円。 これに対して「学習教材」は284億円(順位は8位)に留まる。教材の「問題性あり」相談件数はその売上規模と比較して、 その多さが突出していることに特に留意する必要がある。この教材販売正会員の「問題性あり」相談が急増している原因はどこにあるのか。 訪販協はその原因を突き止め、問題を発生させている当該正会員に対して適正にして厳正な指導を行う必要がある。
正会員の教材トラブルの多くは、中学3学年分の複数科目の教材を契約させるなどの過量販売に係るものだ。 過量販売には、特商法で解除規定を設けており、これを受けて訪販協は、学習教材を含む10の商品・役務に自主行動基準 「通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安」を設け、ここで定める目安を超える量の販売を行う場合は 「その契約の締結を必要とする当該顧客の特別の事情を適切な方法により確認等を行うことが望ましい」としている。
従って、訪販協が先ず取り組むべきことは、これら問題を引き起こしている正会員が、当該法令や自主行動基準をどのように受け止め、 対応しているのかについて厳正に質し、遵守の意向が確認できない(ビジネスモデル自体が過量販売を前提にしているなど)のであれば、 然るべきプロセスを経て除名処分を行うことも検討されるべきだ。
ジャパンライフは2016年12月以降、4回もの業務停止命令を受け、その後、破綻した。 同社が販売預託商法を開始した2000年度頃(消費者委員会調査資料)には既に訪販協の正会員であった。 訪販協を退会したのは2015年10月だ。従って、10数年間にわたって問題商法を展開していたと見られる。 この間、訪販協が同社の問題商法を見抜き、是正指導を行うなど厳正な措置とっておれば、少なくともその後の消費者被害は避けられた可能性がある。 今回の事態には迅速に対応すべきであり、ジャパンライフの場合と同じ轍を踏んではならない。