社説 会員が誇り持てる活動こそ

老舗MLM企業の日健総本社は、エビデンスにもとづいた”ものづくり”を強みとする一社だ。取扱い商品は、健康食品や化粧品、日常食品等、 多岐にわたるが、中核を成すのは微細藻類(マイクロアルジェ)だ。これまでに数々の商品を展開してきたが、 最近では長年の研究開発のノウハウを活かした”異分野”への展開にも力を入れている。
先ごろ岐阜県で開催された世界大会「クロスタニン国際大会」では、本業と言えるMLM事業に加え、さまざまな分野の企業・団体と協力し、 微細藻類を用いたプロジェクトを行っていることが報告され、中でも同社が日本工営と行っている共同プロジェクトについては、 世界規模での展開が本格化するとして参加者の注目を集めた。同プロジェクトは、「環境保全事業」の一環として「糸状藻類による環境事業への応用」 を行うもの。具体的には、微細藻類を用いた赤土の侵食防止工法(BSC=バイオ・ソイル・クラスト工法)で、 降雨や開発等、さまざまな要因によって流出する赤土の環境問題を解消するもので、昨年、国土交通省の「NETIS(新技術情報提供システム)」に 登録されたことで、国内外での事業展開が決定。JICAがBSC工法を採択し、 2018年度の「開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」において、ネパールで公共インフラ交通省道路局を対象に、 BSC工法が行われる運びとなった。同工法であれば、メンテナンス不要かつ安価で首都カトマンズと南部穀倉地帯を結ぶ「シンズリ道路」の 補修が可能だという。さらに、天然の微細藻類を資源として散布するため、生態系を冒さずに在来種の保存が可能なのもメリットだ。 ネパールの環境保全プロジェクトは、会員の普段のビジネス活動とはかけ離れているように見えるが、 自分たちが紹介・販売している商品を開発するメーカーが、エビデンスにもとづいた”ものづくり”を実践し、 さらにそれを応用した社会貢献を行っているという事実は、活動を後押しする大きな利点であると言える。
同社は国内においても既にさまざまな異分野とのコラボレーションを行っているが、ユニークな取組みとして、 4月から各地の学校給食に藻類DHAオイルを使用したメニューが提供している。 既に、23の都道府県の全国学校給食会が「藻類DHA添加食品」として採用しており(2019年3月末時点)、 日健総本社と松本大学矢内研究室との共同開発メニュー(コロッケ、ハンバーグ、チキンナゲット)が提供されている。 DHAは脳細胞をはじめとする細胞膜を作る成分の1つで、子どもの成長に大切な必須脂肪酸。 近年、食生活の変化等からDHAの摂取量が減少していることから、同研究室と魚を食べなくても不足分のDHAを補うことができる 「藻類DHA添加食品」を共同開発した。同施策によって、これからの日本を担う子どもたちの発育・成長をサポートする。
会員・販売組織の士気を高める方策は多々あるが、重要なのは、自分たちの活動が社会に認められ、 貢献しているという”誇り”を持たせることにあることが、同社の施策から読み取ることが出来よう。