ダイレクトセリング化粧品 「リブランディング」のトレンド
苦境を打破する一手′ゥ据え
狙いは若年〜ミドル層開拓
コロナ禍以降、ダイレクトセリング化粧品、特に老舗企業は厳しい環境が続く。従来のビジネスモデルでは変化した消費者ニーズへの対応が追いつかなくなっていることに加え、長年にわたって組織を支えてきたベテラン販売員が、高齢化やビジネス環境の変化を理由に引退するケースが相次いでいることが主な要因だ。これに対し、各社は新しい顧客接点の創出を進め、オンライン・オフラインを両軸とした「次の一手」の構築を模索している。同時に、営業組織・ユーザーともに高齢化が進む既存マーケットではなく、新たな市場へ進出して事業基盤の強化を狙う動きも。一部では、リブランディングによるイメージ刷新で状況打破を図る取り組みが盛んだ。
60周年の節目
多様性も視野
シーボンは、主力のフェイシャルサロン事業のテコ入れを進めており、2026年の60周年に合わせて「60th Anniversary プロジェクト」としてリブランディングを行っている。昨年、新コンセプトと新ビジュアルを発表し、段階的に製品のリニューアル、サロンの改装、サロンで接客するフェイシャリストの知識・技術・サービスの向上を図っている。サロンビジネスの先駆けの1社である同社は、3つのFACIALIST(化粧品、人、サロン)で「ホームケア+サロンケア」による美容サービスを提供してきたが、新コンセプトでは、「肌は心と身体の鏡」として、タグライン「Talk to your Skin」を設定。「素肌と対話する」ことを設定し、ホームケアとサロンケアという人の手≠ノよってケアを提供し、「揺らぎを安定、そして調和させてビューティーリズムを整える」という「共奏美容」を提案するという。美容業界ではさまざまな機器を用いたケアがあるが、同社では、長年培ってきたフェイシャリストによる手技や、化粧品による美容を提案する。
また、新サロンコンセプトでは、「CLEAN(清潔・美しさ)」「HEAL(癒し)」「HAPPY(幸せ・豊かさ)」「WITH(寄り添う)」の4つをキーワードに、顧客とのコミュニケーションを重視した、清潔で温かみを感じさせる空間を提供していく。1月24日には、東京・六本木のシーボンビル1階に「シーボン コンセプトショップ」をオープンした。初のジェンダーレスサロン≠ニ位置づけ、男性層をはじめ多様なニーズに向けて発信していく狙いもある。同社が全国に100店舗規模で展開する「シーボン フェイシャリストサロン」は、女性専用の会員制サロンとして60年近く運営してきたが、コンセプトショップでは、製品の購入に加え、ショップ限定のフェイシャルケアやボディケアのメニューを揃え、男性も女性も楽しめるジェンダーレスな体験≠提供する。また、カップルや友人同士で利用できるペアルームによって、スキンビューティ体験の共有≠提案する。年間を通して美肌セミナーや季節に合わせたイベント、インスタライブなどを開催して訴求力を高めていく構えだ。
シーボンの足元の業績は、2025年3月期第3四半期は、連結ベース売上高が前年同期比1.6%増の65億3600万円、営業利益が同42.0%減の3800万円と厳しい。リブランディングに伴う店舗改装、製品リニューアル等が利益を圧迫したかたちだが、これらの施策が業績に反映されるのはしばらく先になりそうだ。同社はまた、新規事業としてヘア事業も展開しており、首都圏に3店舗を展開。リーズナブルな価格でヘアケアを提供する形態で、リピート客が多い模様。既に撤退したが、以前はブライダル事業にも着手したこともあり、背景には既存のビジネスモデルだけでは利用者の目減りを避けることはできないという判断がある。
最大手の悩み
現場とのギャップ
最大手のポーラが大規模なブランド刷新を行ったのは、9年前の2016年1月だ。「Science.Art.Love.(サイエンス・アート・ラブ)」をコンセプトに設定するとともに、コーポレートロゴも刷新し、それまでのブルーからブラックに変更し、確固たる自信をもって、何者にも染まらない≠ニいう姿勢を示した。