国セン「社名公表」、明文化後の運用は?

公表は1件のみ、「通貨欺瞞」のWEBサイト
課長補佐待遇で担当人材募集→採用有無は不明



▲改正国セン法の社名公表は、注文が元で決済されて円の約20倍となるトラブルを起こしていた「CalliーCalli」の1件にとどまる(写真は決済の手口の説明画像)
 23年1月に施行された改正国民生活センター法で、悪質事業者の社名等を公表できる国センの権限が明文化されて、2年以上が経過した。法的な裏付けを得た国センは、担当部署の予算増と違法行為の調査等に携わる人材の募集に着手。しかし、現在までの公表事例は1件のみ。背景には、行政調査権限をもたない限界や採用面での苦慮が指摘される。消費者庁の消費者安全法に基づく注意喚起、特定商取引法等の行政処分、適格消費者団体の差し止め請求といった社名公表をともなう措置が増えたことも、国センの出番の余地を狭めていると言える。
 

10年以降、休眠状態

   国センの社名公表はかつて無視できない存在だった。90年代〜2000年代初頭にサンフラワー、朝日ソーラー、スカイビズを公表。当局の摘発や行政処分に発展し、大きなインパクトをもたらした。が、10年に転換社債商法2社を公表したのを最後に休眠状態に。注意喚起を目的とした商品テストの結果は原則、社名を公表する一方、財産被害に関わる社名公表は具体的手口の公表にシフトした。
 この状況に変化をもたらしたのが旧統一教会問題にともなう霊感商法対策。22年に不当寄附勧誘防止法が成立するとともに、霊感商法取消権を強化する消費者契約法の改正と、社名公表権限を強化する国セン法の改正が行われた。
 国センによる情報の収集、公表について定めた第42条第2項はもともと、PIO―NETの消費生活情報を整理・分析して、国民生活の安定・向上を図るために必要な場合は、「その結果を公表(中略)するものとする」と定めていた。

2年前、初の公表

 この条項に「消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益を保護するため特に必要がある」と考えられる場合、「事業者の名称その他の内閣府令で定める事項を公表することができる」と追記。省令で指定した公表対象は事業者の名称・代表者名、商号、住所、電話番号、トラブル防止のための概要など。内規どまりだった公表ルールに法的根拠を与えた。
 不当寄附勧誘防止法策定のため消費者庁に設置された法制検討室の担当者は、国セン法改正を決めた当時、国内最大の苦情データベースであるPIO―NETを活用して、行政処分の前に社名を公表できれば、迅速な被害防止に役立つ旨を説明していた。
 第42条第2項に基づく初めての社名公表は23年4月。カリグラフィー(欧文の文字を美しく書く技法)のガイドブックなどを販売していたWEBサイトの「Calli?Calli(カリカリ)」が公表された。
 サイト内の説明や申込み完了までの画面、SNSの広告は日本語で表示。商品の金額は「¥」で表示され、通貨単位を日本円と思って注文すると、実際は中国人民元で決済され、円の約20倍の価格で購入したことになるトラブルを引き起こしていた。

情報提供「A評価」

 公表のタイミングは改正法施行の3カ月後。迅速と言える公表は、一定の条件を満たせば一部手続きをスキップできる国センの「情報提供規程」が関係したとみられる。

(続きは2025年3月13日号参照)