揺れる米MLMマーケット
誇大報酬説明、FTCが新ルールで規制へ
4カ条の「不実告知」、「罰金」「返金」再び可能に
「経費差引き後収益」開示、参加前「冷却期間」も

MLM報酬に特化
1つは、誤解を招いたり、明確な根拠のない儲け話≠規制するビジネス・オポチュニティ・ルール(以下BOR)。BORを改定し、規制対象をビジネス・コーチングや投資話といったマネー・メイキング・オポチュニティに拡大する。BORに違反すればFTC法に抵触することとなり、提訴や処罰が可能となる。
もう1つは「EarningsClaimRuleRegardingMulti―LevelMarketing」(以下ECR)と呼称するルール。名称の通り、MLMの報酬説明に特化した全くの新しいルールで、BOR改定案とともに60日間の意見募集が始まった。
BORは3年前の22年11月にも、同様の趣旨の改定案のパブコメが行われたことがある。その後、具体的な動きはなかったが、改定内容を一部修正し、改めて「NPRM」にかけられた。
修正した最大のポイントは、BORの規制を広げる対象からMLMを外したこと。この修正と入れ替わる形で、新ルールとなるECRが突如、登場した。
FTC法18条活用
・誤解を招く報酬説明
・証拠もしくは合理的根拠に基づかない報酬説明
・MLMへの参加を雇用の機会と偽って説明すること
・消費者が報酬に関する正確な情報を得ることを妨げるため、虚偽もしくは裏付けのない説明を行うこと
さらに義務事項として、報酬説明に関する証拠の提供を求められた場合、誰に対しても6カ月以内に文書で提供することを定める。証拠の記録を3年もしくは5年間保管する義務も含まれる。
FTCは、不公正・欺瞞的な行為・慣行を包括的に禁止するFTC法第5条に基づき、数多くのMLMを提訴し、時に巨額の和解金を支払わせてきた。したがって、MLMの誇大な報酬説明は現時点でも違法だ。
一方で、FTC法の第18条は行為・慣行の特定、明確化を目的としたルールを定める権限をFTCに与えている。
その際はパブコメを行った上で、規制対象の分野で問題が横行していると証明する必要がある。ECRの「NPRM」は第18条に基づく手続きとなる。
従来は指針どまり
FTCはこれまでもMLM業界に対して報酬説明のあり方を示してきた。一例が18年に公表した、MLMが遵守すべき「18カ条のビジネスガイダンス」。しかし、あくまで指針にとどまっていた。