2024年ダイレクトセリング化粧品市場 優位性確保に課題
顧客接点の変化、どう対応
高付加価値のトレンドさらに

▲「アペックス」(ポーラ)はデジタル技術の積極活用がポイントだが現場からは戸惑いの声も
先行き不透明感 営業現場の困惑
全国に「ポーラ ザ ビューティー」などを展開するポーラは、コロナ禍の2021年から公式アプリを導入して顧客接点の確保を図ってきた。アプリでは、研究知見が裏付ける情報をベースに、地域や季節、肌悩みなどに応じた美容情報、多様な視点から身の回りのさまざまな物事の本質を探るライフスタイル、アートやカルチャーなど計100以上のコンテンツを配信。店舗の検索、お気に入り店舗で実施をしているキャンペーンやイベントなどの情報発信・申し込みなど、店舗体験への利便性も高めた。現場ではそれぞれが工夫して情報発信し、顧客と直接対面できずともコミュニケーションを図ってきた。しかし、コロナ禍がおさまった現在、同社の店舗網は縮小の一途を辿っており、厳しい状況にある。公式アプリなどの活用がどの程度の効果があったのかは定かではないが、営業網の縮小を押し留めることはできずにいる。
サロン展開の主力である「ポーラ ザ ビューティー」は、ポーラが2000年代前半から進めてきた「脱・従来型訪販」の象徴であり、コロナ禍前は670店舗以上を全国に展開してきた。コロナ禍では消費者の購買行動が変化し、ECなど他の販売チャネルの活用が増えたことで営業を中止するケースも。さらに、これまで第一線で活動してきた委託販売員、特に団塊世代を中心としたベテランの離脱が相次いだことから店舗数の縮小が止まらず、現在、店舗数は約470店舗と大きく減らしている。「エステイン」などの他形態のショップや百貨店のポーラコーナーといった店舗数も、ピーク時は4000店舗近くあったが、現在は約2700店舗と営業網の衰退は深刻だ。
百貨店への進出やホテルアメニティ事業のBtoBは、クローズドマーケットであるダイレクトセリング以外でのブランド訴求という狙いもあり、こちらは比較的好調に推移している。しかしながら、ポーラブランドの本体である委託販売事業のテコ入れまでには至っていない。サロンビジネスでは、2023年4月にスタートしたメンバーシッププログラム「ポーラプレミアムパス」によって、国内全ての顧客に共通のサービス体験を提供する施策を実施した。
商品政策では、7月に大型ブランドである「アペックス」を大幅リニューアルし、機能性を強化。アプリやAIといったデジタルツールを積極活用した新技術を導入し、新規ユーザーの取り込みを図っている。一方、現場レベルでは、特にデジタルツールの扱いに不慣れな年代からは苦労や困惑の声も聞かれており、ポーラが今後推進したいOMO戦略と既存組織とのギャップも垣間見られる。ともすれば、既存販売員の切り捨て≠ノもつながりかねないという懸念もあるが、2025年1月の新体制がこの路線を継承・強化していくとみられ、先行きの不透明感が増しているのが実情だ。
事業基盤の強化 多様な取組み
他の訪販化粧品企業に先駆けてサロンビジネスを展開してきた老舗の1社であるシーボンは、オンラインの無料カウンセリング「シーボンオンラインビューティ・アドバイス」を導入し、現在も実施している。