次期消費者基本計画の策定

消費者庁 基本計画の素案、有識者懇談会で了承
特商法改正検討は触れず、法執行「厳正に」


 国の消費者政策の方針とその大枠を定めた「消費者基本計画」について、次期5カ年(2025年度~29年度)のあり方を審議してきた消費者庁の「第5期消費者基本計画の策定に向けた有識者懇談会」(座長=山本和彦一橋大学大学院法学研究科教授)は、11月26日の第4回会合で素案を大筋で了承した。悪質事業者対策関連の方針は、特定商取引法に関して厳正な執行と執行体制の強化・充実を盛り込んだ一方、法改正の必要性の検討には触れていない。素案は原案にまとめられ、関係省庁および与党との調整を行った後、12月中のパブリックコメントを予定する。今年度中に消費者政策会議で決定を受ける見通し(最終決定は閣議)。
 

法執行体制を「戦略的強化」

   次期基本計画の策定は、2月に有識者懇談会でスタート。10月29日の第3回会合で素案が合意された後、11月11日の消費者委員会本会議で意見を受けていた(12月5日号1面参照)。第4回会合では委員の意見、指摘を踏まえた上で、座長が事務局に対して素案の完成に向けた作業を指示した。
 大筋了承された素案は、悪質事業者対策関連の方針について、特商法および預託法を「厳正かつ適切に執行する」と記載。警察、金融庁などの関係機関、地方公共団体等とは相互補完の取り組みを強化し、情報共有等の促進を図るとされた。  執行体制は、情報の収集と分析、執行に至る一連のプロセスについて「戦略的な強化を図る」と記載。執行に携わる職員等の人的リソースの確保、専門性の向上によって体制の充実を図るとされた。
 法執行は、AI(人工知能)技術の導入による迅速化、効率化を図ることも目指す。さらに、職権探知等の有効な活用による法執行の実効性の向上、これを実現するためのリソースの確保に取り組むとされた。  

「マルチ」の相談・被害を「注視」

 一方で、特商法および預託法のいずれも現行法の改正の必要性を検討する旨の記載は見送られた。
 現行の基本計画(20年度~24年度)は、20年1月~3月の策定の最終段階において、2000億円超の消費者被害に発展した「ジャパンライフ」事件を受け、特商法および預託法について「実効的な対策を検討し、制度改正等の必用な措置を講ずる」と追記。21年6月の改正法成立につながった(施行は同年~23年)。

(続きは2024年12月19日号参照)