日弁連が再び意見書・特商法改正求める

オプトイン規制、「年数万円」取引の除外提案



 日本弁護士連合会は10月22日、修理・工事系の訪問販売における相談件数の増加や投資系マルチの被害防止などを理由として、訪問販売や連鎖販売取引の規制強化などを柱に特定商取引法の改正検討を求める意見書を国へ提出した。事前に拒否の意思表示を示した消費者への勧誘を禁止するオプトイン型の不招請勧誘規制案は、契約額が年数万円内の取引を適用除外とするアイデアを盛り込んだ。消費者庁と消費者委員会で消費者法制度全般のパラダイム転換等をテーマに有識者会議が進行する一方、法改正に消極的な同庁の姿勢は、改正検討を先送りするものと批判している。

「現に深刻な被害」

 特商法の改正検討を求める日弁連の意見書は22年7月以来2年ぶり。過去2年の間に複数回のシンポジウムを主催し、やはり法改正の検討を求めてきた。19年には特商法の執行強化を求める意見書を提出している。
 今回提出したのは「悪質商法被害を防止するため特定商取引に関する法律の改正の検討を早急に開始することを求める意見書」。
 検討が必要な理由として、国民生活センターがまとめた特商法関連事案の消費生活相談件数が、16年改正法施行後の18年度で約45・5万件だったのに対して、23年度は約48・5万件に増加していると説明。訪問販売、電話勧誘販売の被害件数は減少傾向にあるとしつつ、「実際には深刻な被害が増加し(中略)手口が巧妙かつ悪質化したりしているものも多い」としている。
 また、消費者庁が6月に設置した「デジタル社会における消費取引研究会」や消費者委員会が昨年12月に発足させた「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」に言及。
 これらの会合で、デジタル技術の急速な発展を背景とした公正な消費者取引のあり方の研究、消費者の脆弱性対策を基軸とした消費者法制度のパラダイムシフトの検討が進んでいるとした一方、「現に深刻な消費者被害が発生している状況」にあるとして、これら検討を理由に「早急に対処すべき特商法の改正事項の検討を先送りすることは消費者保護の観点から許されない」としている。

新聞、放送を例示


 意見書で規制強化を求めた取引分野は、@訪問販売および電話勧誘販売A連鎖販売取引Bインターネット通信販売の3つ。

(続きは2024年11月28日号参照)