シリーズ・特商法改正の行方 政界再編、消費者行政に影響は?
部分連合の国民民主党「書面電子化」に「危惧される点」
連絡会アンケート回答、日弁連は再び意見書
▲日本弁護士連合会が特商法改正の早急な検討を求める意見書(=写真)を公表した直後の衆院選で、改正に消極的な与党が議席の過半数割れを起こす形に
公約では触れず
「石破(茂)総理に対しては、なんと言っても手取りを増やす経済政策、『103万円の壁』の引き上げ等については求めてまいりたい」。所得税支払い義務が生じる最低年収をめぐり、11月5日の会見で国民民主党の玉木雄一郎代表はこう述べ、基準を178万円に引き上げるとした公約を改めて主張した。政権の基盤を弱体化させた与党と、政策毎に連携する部分連合を選択。年末までに行われる25年度の税制改正議論で、一定の結論を求めるという。
11月11日とされる首相指名選挙は、自身の名前を投じると表明。日本維新の会も馬場伸幸代表の名前を書くと報じられる。このため決選投票にもつれ込んだ結果、現首相の票数が立憲民主党の野田佳彦代表を上回り、石破政権が継続するとの公算が大きい。
では政界再編が進む中、消費者行政の方向性にも変化がみられてくるのか。
キャスティングボードを握った国民民主党が総選挙で掲げた公約の具体的中身は、「103万円の壁」の改革、社会保険料の軽減、トリガー条項凍結解除によるガソリン代負担軽減、高校までの教育無償化など。消費者行政のあり方に直接触れた箇所はない。
政府、後押しせず
そもそも歴代政権の過去20年を振り返った際、09年の消費者庁発足を除いて、消費者行政が与党の主導で後押しされたことはほぼない。
消費者庁トップの消費者担当大臣は、他に4〜5つの大臣職を兼任することが通例。消費者行政に本腰を入れる時間に乏しい。在任期間の短さも特徴で、過去10年間は内閣改造に伴い1年毎に入れ替わってきた。
過去には河野太郎大臣が消費者庁の徳島移転構想を唱えたが、最終的に頓挫。「ジャパンライフ」事件を発端とした21年の預託法改正は、「桜を見る会」にジャ社会長が招待されていたというスキャンダルを受けて、止む無く着手せざるを得なかったに過ぎない。
過去20年における計5度の特定商取引法の大型改正は、ダイレクトセリングと周辺の業界に大きな影響をもたらした。が、時の政権がイニシアチブを取ったとは言い難い。16年改正では、有識者会議においてオプトイン型の不招請勧誘規制が有力案になりかけたが、失笑*竭閧端に消費者庁の取引対策課長が事実上の更迭。その後、同規制が庁内で検討された形跡はない。
不招請対策「当然」
ただ、政権の方針とは別に、各党は消費者行政に対して一定の方針を持つ。特に野党サイドは法規制強化を唱える複数の党が存在する。
(続きは2024年11月21日号参照)