岐路に立つ化粧品訪販 老舗・大手の業績分析 ポーラB

影響力低下する委託販売 占有率6割、下げ止まらず



 従来型訪販の時代からポーラの主力の販売チャネルは、ビューティーディレクター(=BD)による委託販売チャネルであることは、今も昔も変わらない。ただし、POLAブランド全体における影響力は年々低下してきている。グラフ1は、ポーラ・オルビスホールディングス・ビューティケア事業のPOLAブランドにおける売上高を、グラフ2は、POLAブランドの販売チャネル別の売上シェアを示したものだ。2019年12月期から分類を変更しているが、2014年12月期〜2018年12月期までのPB(=ポーラ ザ ビューティー)とエステインは、2019年12月期以降の委託販売チャネルに含まれる。これをみると、委託販売チャネル(含む・PBおよびエステイン)の売上シェアが最も高かったのは、2018年12月期の87・4%。厳密に言えば、同年までの「従来型訪販・その他」の分類にも一部の委託販売が含まれるため、売上の約9割が委託販売によって生み出されていたことが分かる。
 ポーラは2000年代前半からサロン戦略を大々的に展開し、その結果、「ポーラ ザ ビューティー」を中心とした店舗網を全国に敷くことに成功した。なお、売上高のピークは2018年12月期の1501億8300万円であり、PBおよびエステインの売上シェアが最も高い時期と重なる。「リンクルショット
 メディカル セラム」などのヒットアイテムに恵まれ、「ポーラ ザ ビューティー」の店舗数も669店舗と、ほぼピークに達した。2019年12月期は、インバウンド需要を追い風に百貨店での売上も好調に推移したほか、海外では中国本土と韓国で売上を伸ばし、同カテゴリーの売上伸長率は47・7%増と、今後の拡大が期待されるところだった。一方、委託販売チャネルは「ポーラ ザ ビューティー」の店舗数が最大の675店舗となったものの、委託販売チャネル全体のショップ数は4000店を割り込んだ。また、同チャネルにおける購入単価、顧客数もマイナスとなり、この頃から既に縮小の動きがみられるようになっていた。
 

(続きは2024年10月24日号参照)