岐路に立つ化粧品訪販 老舗・大手の業績分析 ポーラA

「PB」戦略の限界、顕に
団塊世代の引退が拍車


  グラフは、ポーラ・オルビスホールディングス・ビューティケア事業のPOLAブランドにおける売上高と販売組織の推移をあらわしたもの。国内拠点は、営業所、ポーラショップ、エステインポーラ ザ ビューティー(=PB)を含めた数字となっている。これを見ると、2011年〜2024年12月期第2四半期までの期間において、拠点数が最も多かったのは、2014年12月期の4799店舗だ。これに対して、売上高のピークは、2018年12月期の1501億8300万円であり、年数にして4年ほどのズレが生じている。拠点数は、2014年をピークに減少傾向のトレンドに入っており、現在に至るまで縮小が続いている。
 訪販ビジネスにおいて、原則的には国内拠点数は販売員が網羅できるエリアの広さに比例するものであり、営業力の高さを示すものだが、ポーラのケースを見る限り、2010年代には既にその法則が必ずしも通用しなくなっていることが分かる。特に、国内拠点は、従来型の営業所も含む数字であることに注意したい。ドア・ツー・ドアのような従来型訪販が主流の時代、営業所はあくまでも販売員が集まり、そこから営業活動に繰り出すための機能が主な役割であった。現在においても、「営業所」と呼ばれる拠点はそのような役割を担っているが、2000年代前半からサロンビジネスが台頭してきたことにより、各地の拠点の役割に変化が生じた。つまり、それまでの営業拠点から、訪販ビジネスの「見える化」を促進するとともに、顧客が気軽に来店し、カウンセリングやエステ施術、販売を行うことのできる「地域における顧客接点」としての役割に比重が置かれるようになったわけだ。
 ポーラの場合、2010年代においては、「ポーラ ザ ビューティー」が新しいタイプの拠点としてのアイコンだったと言える。最高峰ブランド「B.A」の刷新とともに、ハイブランドとしてのブランドイメージを強化してきた同社は、地域の拠点のあり方も大きく変えてきた。

(続きは2024年10月17日号参照)