NMI宮澤政夫代表インタビュー 「書面電子化」実態調査報告書を読む
DS2業態「前向き派」、推計で1〜2割制度見直し
消費者団体側の「同意」、難しさ指摘
昨年6月に導入された特定商取引法の「書面電子化」制度。消費者庁による実態調査で制度を利用している事業者はほとんどいないと報告されていたことが分かった。 報告書は、複雑・煩雑な手続きやコンプライアンスリスクを障害に指摘した上で、電子化に着手しやすい制度の在り方の検討を提案している。 連鎖販売取引を中心にダイレクトセリング業界の課題を分析するネットワークマーケティング研究所(NMI)の宮澤政夫代表(=写真)に、 報告書から読み取れるポイントを聞いた。
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「意義有する内容」
――報告書の所感を伺いたい。
「調査が行われたのは(電子化制度が)施行されて1年に満たなかった時期。しかし、この点を踏まえたとしても、電子化制度がどの程度浸透しているのか、 あるいは浸透が進んでいないのかを知る意味で、業界にとっても結果が気になるものだった。
報告書は、調査当時における電子化の実施状況を掴むためのプロジェクトの成果として、意義を有する内容だったと評価できる。 特に、調査対象とする特商法の取引類型を拡大した意義は小さなものではなかったと思う(※1)」
――電子化制度を利用している事業者は「ほとんどいない」と報告された。
「報告書を読んで、『電磁的媒体で書面を提供する制度を利用する事業者はごく少数でしかない』 『その少数の事業者による電子化制度の評価も限られた意見でしかない』と低く評価する人がいるかもしれない。ただ、別の視点で読むこともできるように思う」
――どのような視点か。
「確かに、現状において、電磁的媒体で書面を提供する事業者は少ない。報告書のアンケート結果から推測するに、 訪問販売や連鎖販売取引のダイレクトセリング(DS)事業者ではほとんどいない。けれども、制度を利用していない事業者のすべてが、 『制度に利用価値がない』と見放す態度を取っているかと言えば、そうとも言えない」
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(続きは2024年10月3日号参照)