FTC、業界の「報酬開示」慣行を標的に 揺れる米MLMマーケット

70社を調査、不取得会員の除外を問題視
経費の不記載指摘も、「少数の高取得会員を強調」


 MLM企業が会員に支払ったボーナスの金額を開示する慣行をめぐって、米FTC(連邦取引委員会)が業界への圧力≠強めている。開示していた70社のデータをレビューした結果、 金額算出の母数にすべての会員を含まないケースが大半で、多くの企業は活動に要する経費を明確に記載していないと指摘。少数の高取得会員を強調するケースもみられたとする。FTCは3月、 米DSA(ダイレクトセリング協会)の自主規制組織が策定した報酬開示ガイダンスの有用性に重大な懸念点があるとする職員の意見を公表。2年前には、 虚偽の儲け話を規制する収益開示ルールの草案をまとめており、将来的な規制強化の伏線≠ニ見ることもできそうだ。

 

2年前、600社調査


   米FTCは9月4日、「MLMインカム・ディスクロージャー・ステイツメンツ」と題する調査報告書を公表。文書は約?ページに及び、MLM企業の会員に対するボーナス支払い状況の開示データを分析した。
 対象となったMLMは70社。ただし報告書によれば、前段階で調べた数はその10倍近くに達する。22年夏、FTCスタッフが知る600社以上のWEBサイトを調べた結果、 支払い状況を開示していたMLMは79社だったという。
 その後、昨年2月、改めて開示状況を調べたところ、22年に開示していた複数のMLMは営業を終了するか、データを非公開化。新たに支払い状況が確認された企業を加え、70社を調査した。 有名な大手から知名度のない小規模な企業までが含まれるとしている。
 先に触れたように前段階では600社以上を調査、そのため報告書は、業界の全体像を網羅したデータではない可能性がある旨にも触れている。

75%、一部会員除外


 報告書では、開示されたボーナス支払い状況はMLMへの参加を検討している消費者にとって、支払われる可能性がある金額の参考となる重要なデータであると説明。 が、70社が開示していたデータの多くは「支払い金額を計算する際に重要な情報が省略されている」として、複数の問題点が確認されたことを強調している。
 指摘の一つは、開示データのほとんどが、少額のボーナスしか得ていない会員やボーナスを全く得ていない会員の情報を含んでいなかったことだ。
 

(続きは2024年10月3日号参照)