消費者庁の「書面電子化」実態調査 

制度の誤解「散見」、難解なガイドラインも要因


 消費者庁による実態調査で、法定書面を電磁的方法で提供できる特定商取引法の「書面電子化」制度を利用している事業者が、 ほとんどいないとまとめられていたことが分かった(9月5日号1面記事参照)。最大の障壁は、 消費者保護の名目で設けられた何段階にもおよぶ確認・義務事項。違反すれば行政処分や民事ルールの行使の対象となり、 業務効率化といったメリットも期待できない。ダイレクトセリング関係者の実感とも通じる不満、ジレンマが改めて浮き彫りとなった。

理解度「一様でない」


 他方、報告書は、調査で得れられたデータを分析した結果、事業者による「書面電子化」制度の理解が「一様ではなく」、 「正しく理解をしている事業者と誤った理解をしている事業者の双方が存在していることが確認された」(報告書より)とも記載。 確認・義務事項といったハードルの以前の問題として、制度の仕組みの周知が進んでいない実情を指摘している。
 調査では、「書面電子化」制度が始まったことを知っているかどうか、アンケートを実施した。その結果、 回答事業者の90.7%が「知っていた」と答えており、「知らなかった」の9.3%に大差をつけた。
 取引類型毎の認知度は、連鎖販売取引と電話勧誘販売、訪問購入の3類型が各100%、訪問販売が90.0%、 特定継続的役務提供(以下特役)が82.4%(業務提供誘因販売取引は回答なし)。他の類型と比較した特役の低さは、 指摘役務のうち「いわゆる美容医療」の認知度が33.3%と群を抜いて低かったことが影響している。
 従って、DS業界とその周辺における認知度という点では、まずまずの周知を出来ていると言えるだろう。

「任意でなく義務」


 一方、調査結果から、制度の仕組みについては認知度ほどの周知が進んでいない状況が窺える。

(続きは2024年9月12日号参照)