本紙アンケート・業界の賛否は「不招請勧誘規制」「開業規制」

不招請規制…最多は賛否保留、「適用除外」反対が多数派
開業規制…賛成が反対上回る、「情報開示」には消極的


 特定商取引法で厳格な規制を受けるダイレクトセリング業界。16法改正附則の”施行後5年見直し”規定などを根拠に、規制を更に強めようという動きが消費者系団体の間で活発化している。法改正による実現を求める規制は、訪問販売等における不招請勧誘規制の強化と、連鎖販売取引の開業規制(参入規制)の導入だ。訪販の具体例には、”訪問販売お断りステッカー”の効力の明確化などを提案。連鎖販売は、開業規制のほかに「後出しマルチ」「モノなしマルチ」の規制・排除を主張する。そこで本紙は、これら規制案の賛否を聞く業界アンケートを実施。38社の有効回答をまとめた(回答企業一覧参照、6月21日〜7月25日調査)。

 

事前拒否型の不招請勧誘規制


   国に特商法の改正を求めているのは、70近い消費者系団体が加盟する「特商法の抜本的改正を求める全国連絡会」や全国の弁護士会。改正検討を求める意見書を採択した地方議会は117カ所に達する(7月2日時点)。
 主張されている規制の一つは、訪問販売に対する事前拒否型(オプトアウト型)の不招請勧誘規制の導入。現行法は再勧誘禁止を定めるが訪問自体は禁じていない。これを更に推し進め、消費者が拒否の意思を事前に示せば、勧誘等が目的の訪問を違法とするよう求める。
 そこでアンケートでは、事前拒否型の規制について業界の賛否を調査。最多は46%を占めた「賛成とも反対ともいえない」(17社)となった一方、「導入に賛成」(2社)と「どちらかというと導入に賛成」(8社)を合わせた計27%は賛同を示した(グラフA参照)。「導入に反対」(3社)、「どちらかというと導入に反対」(5社)の計22%に5ポイントの差をつけた。
 記述式で聞いた賛否の主な理由は、賛成派が「訪販の拒否を掲示している方への営業を禁じている」「現在、訪販で直接訪れることはほとんどない。顧客の要請で訪問している」「『(訪問が)迷惑』と事前に意思表示することで、予期せぬトラブルを回避できる可能性が大きい」など。
 反対派からは「オプトアウトの意思表示の確認が難しい」「ビジネス機会の大きな損失になる」「見込み客に対する提案型販売の機会が担保されないと、このビジネスモデルが成り立たない危険がある」「悪質事業者のために健全に事業を行う企業が過剰な規制を強いられる。そもそも悪質事業者に効果があるか不明」「現行法で対応可能」といった意見が寄せられた。

ステッカーの法的裏付け


 消費者系団体等は、事前拒否型規制の具体的運用に所謂”訪問販売お断りステッカー”を提案。複数の地方自治体は条例とガイドライン等でステッカー規制を実施しているが、特商法で法的裏付けを与えることを求める。
 このステッカー活用は「提案に賛成」(5社)と「どちらかというと提案に賛成」(7社)の計31%が賛同(グラフB参照)。計25%となった「提案に反対」(4社)、「どちらかというと提案に反対」(5社)を上回った。ただし、最多は「賛成とも反対ともいえない」(14社)で38%を占めた。

(続きは2024年8月15日号参照)