第76回ダイレクトセリング実施企業売上高ランキング 前期比3.4%増の1兆3640億円に

回復基調も予断許さない状況
オンライン・オフラインの活用軸に


 本紙が2024年7月に実施した「第76回ダイレクトセリング(DS)実施企業売上高ランキング調査(対象・DS=訪販・MLM企業)では、調査企業121社(小売ベース?社、卸ベース?社)の小売ベースの売上高総額は、 1兆3674億500万円となった。前期と比較可能な120社の売上高総額は1兆3640億7100万円で、前期比3・4%増と、前回調査に続きプラスとなった。コロナ禍後のビジネス活動が本格化し、 オンライン・オフライン双方を活用したフィールドの動きも活発になってきている証左と言えるが、一方では歴史的な円安などによるコスト増が依然として重くのしかかっっており、予断を許さない状況が続く。

ブランドの刷新と既存組織のギャップ


 回答企業を販売形態別(グラフ1参照)にみると、訪販が62社、MLMが51社となった。この2分野で回答企業の93%を占めた。売上ベースでは、訪販が6976億9800万円、MLMが5598億9700万円。小売・卸ベースともに上位の企業ついては表1および2に掲載。小売ベース11位〜58位、卸ベース11位〜63位については2面に表を掲載している。前期売上で増収率が高かった企業についても、上位10社を2面でまとめている。小売・卸ベースの上位企業20社では、20社中9社が増収を達成した。
 訪販系企業では、ポーラは、2023年12月期では、ポーラブランドの売上高が前期比2.2%増の984億9900万円。直近の24年12月期第1四半期では、売上高が同8.4%減の221億6100万円、営業利益が同34.2%減の23億500万円と厳しい状況が続く。主力の委託販売チャネルでは、「ポーラ ザ ビューティー(=PB)」をはじめとするショップ数も、速度は落ち着きつつあるものの減少傾向が続く。同四半期でのショップ数は2647店舗で、コロナ禍前と比べて1500店舗以上も減少している。コロナ禍による顧客接点減少や、委託販売員の高齢化による活動の縮小が、店舗数の減少につながっている。
 ポーラの今第1四半期における委託販売チャネルの売上シェアは約6割で、占有率の低下傾向が続いている。売上伸長率では、委託販売が12.2%減と大きく減らした一方で、ECが5.8%増、百貨店・B〓B他が10.8%増となった。国内全体では、委託販売の減少が影響して7.1%減。海外は中国大陸における不振が響いて14.5%減と2ケタ減となった。国内事業における購入単価は5.2%減、顧客数は3.6%減と、ECなどのチャネルが好調な一方で委託販売チャネルの苦戦が大きく影響している。委託販売チャネルのビューティーディレクターは約2万1000人で2000人の減少と、主力チャネルの弱体が目立つ。これに対して同社は、OMOを軸とした新サロン戦略の構築を進めており、年内に1店舗目を出店する計画だ。


(続きは2024年8月1日号参照)