日弁連・特商法改正求め3度目のシンポ

オプトアウト型規制、「世界的に時代遅れ」
連鎖に登録制、詐欺的マルチ=u全面禁止に」


日本弁護士連合会は7月5日、特定商取引法の改正を求めるシンポジウムをウェビナーで開催し、法改正によって、訪問販売等にオプトイン型の不招請勧誘規制を導入することや、訪販や連鎖販売取引に登録制を設けることなどが主張された。シンポの中では、一部の悪質商法に匿名・流動型の犯罪グループが関与している可能性も指摘。また、特商法の改正を求める意見書を採択した地方議会が全国で117カ所に達したことが報告された。

現行法は「機能不全」


 シンポジウムの名称は「特商法の抜本的改正に向けて 〜法改正運動の現状と今後の展望〜」。同名のシンポは23年12月以来2度目。22年10月のキックオフ集会を含めると3度目となる。
 消費者問題対策委員会(以下対策委)の国府泰道幹事は、16年法改正の附則に”施行後5年見直し”が盛り込まれた一方、改正の検討が始まっていない状況を「いわば法律違反状態が生じているとでも言える」とした。
 また、6月に消費者庁で発足したデジタル社会における消費取引研究会で、ネット通販の対策の検討が始まった模様としつつ、「それ以外の分野である訪問販売、電話勧誘販売、マルチ商法は全く検討が未着手」と強調。日弁連が意見書等で提案してきた、訪問販売と電話勧誘販売における登録制および「DoNotKnock(DNK)」制度、「DoNotCall(DNC)」制度の実現、連鎖販売取引における登録制と悪質な”マルチ”の禁止、 ネット通販とSNSを利用した勧誘の規制――の3点をあげて、現行法が「現実に対して機能不全に陥っているのではないかという問題提起をしていきたい」と述べた。
 対策委の山ア省吾委員は、世界各国の「DNK」「DNC」を解説するとともに、国内でオプトアウト型の不招請勧誘規制における事前拒否制度を「訪販お断りステッカー」で実現している各自治体の条例に触れた。
 一方で、自治体の条例は違反行為に対する規制が弱いとも指摘。事前の拒否が明確でなければ、勧誘が行えるオプトアウト型の規制は「世界的には時代遅れで後進的」とした。

「トクリュウ」関与も


 また、11年にオプトイン型の不招請勧誘規制を導入した金融商品取引法で、国為替証拠金取引などの訪問勧誘等にかかわる相談件数が激減したケースを紹介。取引形態のほとんどがネット取引に移ったとして、オプトイン型の規制は「悪質業者の排除に非常に有効」と訴えた。

(続きは2024年7月25日号参照)