消費者基本計画の「工程表」改定

特商法の執行強化抜本的改正求める意見、反映せず
「書面電子化」見直しも触れず


 国の消費者政策の方針を定めた「消費者基本計画」に沿って、その具体的な取り組みを記載した「工程表」が6月14日、”2024年度版”に改定された(前号1面記事参照)。この中で重点項目の一つとされた「特定商取引法等の執行強化等」の取り組みには、特商法の厳正で適切な執行などを記載。一方、「工程表」の改定素案のパブリックコメントで複数の意見が寄せられた、特商法の抜本的改正や「書面電子化」規定の見直しなどは反映されておらず、当面は現行法の執行強化へのリソース投入が続きそうだ。
 「工程表」の改定は毎年度行われており、24年度版の改定素案は3月に公表。4月までの1カ月間、パブコメが実施された後、消費者委員会の意見を踏まえた上で、6月14日の消費者政策会議で決定された。パブコメで受け付けた意見の総数は260。このうち「特定商取引法等の執行強化等」は13件の意見が寄せられた。
 この中で、「特定商取引法等の執行強化等」の取り組みに含めるべきとして、複数の意見が寄せられたのが特商法の抜本的改正になる。
 過去10年の特商法は16年と21年の2度、大型の改正を実施(施行タイミングは17年と21年〜23年)。これに対してパブコメの意見は、これらの法改正後においても、
「通信販売での定期購入や訪問販売による屋根修理等の被害が増加している」
「若者等による副業や投資、マルチ商法の消費者被害も後を絶たない」
「悪質商法による消費者被害は減少しておらず、また急速に進むデジタル化に伴ってますます複雑化している」
  「暮らしのレスキューサービスの高額請求では事業者が法に従わないなど現在の法律では解決が難しい案件が多い」
――などのトラブルの存在を指摘している。
 その上で、「特定商取引法の抜本的改正を追加してほしい」「これらの消費者被害を防止するには特商法の抜本的改正が必要。

(続きは2024年7月4日号参照)