改正預託法・消費者庁が初適用

ヘリコプター所有権、一口110万円で販売配当月6千円
実態はヘリ代金が「売上のほとんど」


ヘリコプターの所有権の区分販売が原則禁止されている販売預託に該当するとして、消費者庁は5月17日、「エスアイヘリシス」(以下エ社、所在地・東京都千代田区、山本学代表)に対して、預託法に基づき直ちに違法行為を取りやめることや再発防止策を講じることを命じる措置命令を出した。

大臣確認なし


 現行の預託法は22年6月に改正法が施行。磁気治療器のレンタルオーナー商法で2000億円超の大規模被害を生んだ「ジャパンライフ」事件をきっかけに、内閣総理大臣の確認を受けない販売預託を禁じ、販売預託取引を実質的に禁じた。
 しかしエ社は、改正法の施行後、大臣の確認を受けずに販売預託取引契約の締結を勧誘し、締結していた。大臣の確認を受けない販売預託で消費者と締結した売買契約は効力が生じないため、これを踏まえた対応を行うことも消費者庁は命じた。措置命令を出した取引対策課によれば、これまでに大臣確認を得た事業者はいないという。
 取引対策課によれば、電話でアポイントを取得して消費者宅を訪問するなどして、ヘリコプターの所有権を一口あたり110万円で販売していた。ヘリコプター1機分の販売数は約350口。
 所有権を購入したオーナーには、ヘリコプターの運用実績にかかわらず、一口あたり月額6000円の配当を謳っていたという。ほかに航空機1台も取り扱っていたという。同課によれば、22年12月期で約5億円を売り上げていた。
 しかし実態は、消費者に引き渡したヘリコプターの売却代金が売上高のほとんどを占め、預託取引の売買契約を締結しなければ「(エ社の)売上げは直ちに減少する」(発表より)ことから「同様の違反行為が継続又は反復される蓋然性が高い」(同)と判断した。同課の調べによれば、少なくとも22年9月〜23年2月の期間、当該取引を継続して行っていた。

(続きは2024年5月23日号参照)