転換期迎えたサロンビジネス 進む顧客接点の多様化
「ECの導入」は不可欠か?需要開拓とポリシーの両立こそ
ダイレクトセリング化粧品ではかつて、主力の販売組織以外の販路を構築することは至難の業だった。背景には、既存の販売員の商圏を侵害するおそれがあるとして反発を招く可能性があったからだ。時代は変わり、従来型訪販に代わるサロンやECなど多チャネル展開が浸透した。特にECは、販売員自身が日常生活において積極的に利用する機会が増えたこともあり、コロナ禍を経てその流れがさらに加速した。DS化粧品最大手のポーラは、オンライン・オフラインをつなぐOMO戦略を新たなサロン施策の核と位置づけ、次の美容人口となる若年世代への訴求を強めている。サロンを主要顧客接点としてきたこのビジスに、転換点が訪れようとしている。
サロン展開とECともに導入6割
表は、化粧品を主力商品としてダイレクトセリングを展開している主な企業33社について、エステティック等のサロン・店舗、公式ECサイトの展開状況をまとめたもの。これによると、33社中、サロン等の店舗を展開しているのは20社で、全体の60%を占める。また公式ECサイトを展開している企業は、33社中20社と、サロン展開と同じ状況となった。サロンと公式ECサイト双方を展開している企業は13社で、全体の4割を占めた。主な企業としては、ポーラをはじめ、ナリス化粧品、ノエビア、オッペン化粧品、御木本製薬、シーボン、クラブコスメチックス、ナガセビューティケァなど。この13社は、ダイレクトセリング化粧品市場の中でも、多チャネル展開に積極的な姿勢を示しており、概ね、従来の手法にとらわれず多様なアプローチで顧客との接点を創出していく方針で共通していると言える。
サロン・公式ECを展開している企業の筆頭はポーラで、20213年4月18日にスタートしたサービスプログラム「ポーラ プレミアム パス」(=PPP)は、それまで販売チャネルごとに保有していた顧客IDを共通化し、シームレスでブランドを訴求する仕組み。場所やチャネルを問わず、購入履歴や肌分析結果を確認することができるシステムによって、顧客の特性に合わせた柔軟なサービスを提供していると いう。
(続きは2024年5月2日号参照)