担当者に聞く ポーラ 新サロン戦略の狙いと展望
ポーラ(本社・東京都品川区、及川美紀社長)は、ダイレクトセリング化粧品最大手企業として、市場に数々の影響をもたらしてきた。 現在、同社はOMOを基軸とした新たなサロン網の構築という、「次の一手」に向けた準備を進めている。コロナ禍を経て、 販売員や拠点の減少がみられる中で打ち出された新サロン戦略の展望について、執行役員TB事業企画担当の荘司祐子氏に聞いた。
(TB事業=トータルビューティー事業)
▲ポーラ
執行役員TB事業企画担当
荘司 祐子 氏
執行役員TB事業企画担当
荘司 祐子 氏
”タイパ”重視のECユーザー
――TB(トータルビューティー)事業において、オンラインという要素はもはや不可分であると。
「その通りです。ポーラ プレミアム パス(=PPP)もアプリもそうですが、お客様の多様なニーズに応えていくためにも、ポーラの販売チャネルの様々な個性を活かしていく上でもオンラインは不可欠です。PPPは昨年から稼働して好評を博しており、ECのお客様がサロンに来店してエステを受けられ、大変満足していただけるケースもあります」
――ECからサロンに来店するお客様の反応は?
「ECからサロンに来店された場合、満足度が非常に高いのが特徴です。ECのお客様は美容にも化粧品にも詳しい一方で、自分の肌の状態はご存知でないというケースがみられます。そこで、実際に来店していただいて、肌分析やエステを受けていただき、いまの自分の肌を知ることで高評価につながっています。リアル体験ならではの、”お客様の肌に必要なこと”を一緒に探していく過程がニーズに合致していると言えます」
――ECの顧客はECで完結しているわけではないと。
「はい。ただし、接客のあり方など、ECのお客様に合わせた内容も求められます。例えば、多忙なので時間に余裕がない方や、オンライン上の情報や体験で既に詳しい場合もあり、他のチャネルのお客様に比べて、より目的が明確な傾向があるように思われます。分かりやすく言えば、”タイパ”重視の方が多いのかもしれません。従って、サロン側にはそれを超えるような、お一人お一人に合わせた質の高い接客力が不可欠です」
――競合相手も、従来の化粧品企業やエステサロンなどとは異なってくる…?
「どのようにお客様に来店していただくかという視点では、参考にしている業界は多種多様にあります。また、価値提供という視点では、化粧品だけでなくウェルビーイング領域の事業を展開している企業なども想定する必要があります。従来とは異なる見方で、サロンビジネスに必要なものを構築していくという段階です」
肌分析とエステ ポーラの2大体験
――7月1日にリニューアル発売するパーソナライズドブランド「APEX(アペックス)」は、OMO戦略サロンでも重要な位置づけになるのでしょうか。
「『APEX』の肌分析は、ポーラの体験価値という中でとても重要なサービスです。この商材があることで、ビューティーディテクター(BD)がお客様に美容のアドバイスをする人という単純な役割ではなく、お客様とともに、『美容を一緒に楽しむ』『ワクワクを提供していく』『一緒に見つけていく』といった、美のパートナーとしての存在価値に高めていけると考えます。新しい『APEX』も、2070万件という肌のビッグデータや最新の研究成果といったサイエンスは絶対的に大事にしながらも、ブランドとしての『ワクワク感』を強化しました」
――肌分析結果の名称や、アプリのキャラクターとの気さくなコミュケーションなどから、その狙いが窺えました。
(続きは2024年4月25日号参照)