チャネル横断の顧客誘導こそ DS化粧品のリアル・オンライン戦略

デジタル絡めた施策の活用 リアル拠点の位置づけも変化


▲ブランドを“回遊”できる仕組みを提供
(ポーラ プレミアム パス)
      ダイレクトセリング化粧品では、コロナ禍で対面でのカウンセリングや接客が難しい中、オンラインツールやアプリなどを駆使してコミュニケーションを図り、顧客との絆をつなげてきた。 一方では、ECなど非接触型の販売チャネルを強化する動きも活発化し、コロナ禍が落ち着いた現在もこの流れは続いている。消費者の購買行動や価値観はこの数年で大きく変化しており、 サロンビジネスにもニーズに対応した新たな取り組みが求められるようになった。こうした中、「リアルとオンラインの融合」による顧客接点の確保が重要なファクターとして位置づけられ、 各社がさまざまな施策を実施している。綿密な情報発信とフォローがカギとなるようだ。

SNS積極活用 サロンへ来店


 ポーラが昨年4月18日に導入したサービスプログラム「ポーラ プレミアム パス」(=PPP)は、スタートから約1年が経過した。 現在の登録者数は明らかにしていないが、堅調に推移している模様。同社は、コロナ禍で直接の対面カウンセリング・販売が難しくなったことに加え、 ユーザーの購買行動が変化したことで、サロンの位置づけを見直してきた。ECやオンラインといったデジタル施策はコロナ禍でも好調で、PPP導入時では、 オンライン経由の新規顧客獲得数は前年度比2ケタ増と拡大を続けた。これに対し、「ポーラ ザ ビューティー」(=PB)などのリアル拠点では、 店舗でSNSによる情報発信を実施。フォロワー数を伸ばし、オンラインで直接つながる顧客リストを拡充し、新規顧客の獲得に寄与したケースもみられた。 PPPはこうした状況の中、これまで販売チャネルごとに保有していた顧客IDを共通化し、One POLA≠ニしてブランドを訴求する仕組みとして登場した。 販売チャネルを横断するIDによって、場所やチャネルを問わず、購入履歴や肌分析結果を確認することができる。また、顧客の気分、都合、価値観や、居住地域、悩み、 肌の状態に合わせて、個々人に寄り添ったサービスを提供することで、さまざまな入口からポーラブランドを回遊≠ナきることを強みとしている。 具体的な数値は公表していないが、EC経由のユーザーがサロンに来店し、肌分析やエステサービスを受けるケースも増えており、PPP導入による手応えがあるという。 同社が展開しているデジタルツールを積極的に活用しているサロンではそのような傾向がある半面、すべての拠点で好転の動きがあるわけではないため、 現場レベルでのデジタル活用の底上げが急務となっている。
 また、ECの売上が増えたとはいえ、ポーラブランド全体では委託販売チャネルが大きなシェアを占める。

(続きは2024年4月18日号参照)